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花壇整備の様子
(idea 2020年3月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
隣接する芦ノ口自治会と2自治会で萩荘10区(市野々地区)に属する赤猪子自治会は、23戸70人程が暮らす中山間地域です。役員や市野々地区の各種組織などが連携しながら事業を行っています。
取材へ向かう道中、素敵な案内看板を発見(下写真1枚目)。その看板が示す方向へ車を進めると、赤猪子自治会(以下「赤猪子」)に住む人たちの憩いの場でもあり、今回の取材場所でもある赤猪子公民館が見えてきました。
「どこの地域でも同じ課題だが、役のなり手がいない。そのため、役を何個も持つのが当たり前で、事業をする度にみんなが大変な思いをしている」と話すのは、今年度から自治会長を務める佐藤光志さんです。部落内の高齢化や雇用期間の延長で働く人が増加、親世代が役員にいるから自治会に入らないなど、どこの地域でも見られる課題に「赤猪子としてこれからどうしていくか」を考え始めたという光志さんは、会長就任後、事業の見直しを始めました。同じく今年度から副会長を務める小野寺克哉さんも「今までのやり方をそのまま続けるのは自分たちの首をしめるだけ。会長と一緒になって部落の課題やこれから必要になってくるものを考えていきたい」と、一緒に事業の見直しに取り組みます。
住民一人ひとりの声と部落の和を大切にしながら自治会運営に励む2人に、赤猪子の取り組みついて伺いました。
事業の見直しとして最初に手をつけたのは、前自治会長が1人で写真撮影から記事作成を行い、毎月発行していた広報紙「猪突」。
今年度から自治会長となった光志さんが1人でそれを行うのは難しく、また、自治会役員の高齢化や役員の中には現役で働いている人もいるため、新たに広報紙発行の仕事を任せるのは荷が重いという理由から、広報紙の廃止を決断。前会長がやり続けてきたものを自分の代で廃止にするのは心苦しかったと光志さんは話します。
逆に、そんな光志さんが「これだけは続けていきたい」と話す行事があります。それは、ゴールデンウィークの期間に開催されるお花見会。各戸から最低でも1名は参加するというお花見会は30年以上前から毎年開催しています。開催日をゴールデンウイークに合わせることで、部落を出た若い人や外孫なども参加。公民館の前で焼き肉を愉しみます。「メインは焼き肉だが、焼く人が大変。そろそろ違う内容にしようかな」と、さらなる盛り上がりに向けて新たな内容を検討しているお2人は楽しそうな表情を見せます。
住民が協力し合う活動としては、花壇整備と春・秋の一斉清掃もあげられます。3か所ある花壇の整備は、担当制ではなく、回覧で全戸に参加を呼びかけます。人口減により、住民同士が立ち話をする機会が少なくなってきたという赤猪子ですが、花壇整備と春・秋の一斉清掃は住民がコミュニケーションを取れる場にもなっているのだとか。
また、不法投棄対策には市野々地区として取り組み、赤猪子では5か所に「神社印」を設置。以前よりもゴミの投棄が減ったそうです。住みよい生活環境を目指し、美化活動には今後も力を入れていきます。
市野々地区としての活動にも参加する赤猪子。地区民運動会には36名もの選手を送り込んだことも。その中には「応援隊」として、集落出身者など赤猪子在住ではない人も含まれます。また、農業関係の団体や中山間協議会等との連携で行っている事業(収穫感謝祭、新年会など)も多く、そうした自治会という枠を越えた連携を活かした取り組みを光志さんは模索中です。
「若い人を巻き込むためにはどうしたら良いかという話し合いも行ったが、そもそも若い人がいない。それに、昔は自治会に関わる人は無償ボランティアが当たり前の時代だった。しかし、今は何かと引き換えでなければ基本的に誰も動かない。だからこそ今の時代に合ったやり方で、高齢者宅の庭や田んぼの手入れなどを有償で手伝ってもらえるような仕組みを作りたいと考えている。そのためにも、利用できる制度にはどのようなものがあるのか、情報収集をし、みんなに説明していきたい」と、増加する高齢者の一人暮らしや老夫婦のみ世帯への今後の協力体制の目標を語ってくださいました。
自治会を支える役員として、そして赤猪子の住民として、これからも住みよい赤猪子を目指して活動を続けます。
さとうみつゆき
佐藤光志さん
自治会長は1期1年目ですが、副会長を8年経験し、前会長をサポートしてきました。これからも自治会を引っ張ります。
おのでらかつや
小野寺克哉さん
光志さんと同じく今年度から副会長に就任した克哉さんは消防団歴33年!他にも役を務めながら自治会運営に関わっています。
克哉さんのお父さんが区長時代に作ったという案内看板は、赤猪子へ訪れる人を出迎えてくれます。
公民館横の駐車場で行われるお花見会には毎年約30人が参加。春の農作業の合間の息抜きにもなっています。
今年度から廃止となった猪突は、平成23年4月にスタートし、第97号まで発行。部落の様子が全てここに収めれていました。
桜の木の剪定を行うのは光志さんと奥さんの佐知子さん。枯れ葉拾いは住民みんなで行い地域を綺麗にします。