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自治会長 辻山慶治さん
(idea 平成31年3月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆自治会長:辻山 慶治 さん(5期10年目)
◆60世帯200人が暮らす里が丘民区自治会は、平成32年で結成50年を迎えます。造成地域のため他区よりも比較的新しく、近くには一関遊水地堤防を眺められる場所があります。
取材直前、「今回初めて(地域紹介の)記事を書かせていただきます」と話す新米スタッフに「最初というのは比較するものがないから自由に書いていい」と、優しい言葉をかけてくれたのは、里が丘民区自治会(以下「里が丘」)会長の辻山慶治さん。辻山さんは大手企業を退職後、中里地区で活動していた福祉組織の事務局長を務めていました。その間に当時の里が丘の自治会長が高齢となり、「各世帯を歩いて回ったり、地域のことを考えたりするのは若者が行い、先輩方はその相談役に」という思いから自治会長を継承し、5期10年目となりました。
自治会長としての10年間を振り返ってもらうと、「上手くいくことばかりではないけど、若い人や先輩達の支えがあったから頑張れた。そして何より、中里にある13行政区の区長達が“助け合い”“支え合い”を大切にしてきたからここまでやってこられた」そう話す辻山さんに、民区の枠を超えた連携や支え合いによる地域運営のあり方についてお話を伺いました。
中里では毎年、行政区対抗の中里地区民運動会を開催しています。住民同士の交流や民区の絆を深める場として盛り上がる運動会ですが、ある民区の区長が「住民と上手くコミュニケーションがとれていないから、選手を出せない」と悩んでいる時期があったそうです。そんな時に辻山さんをはじめとするほかの民区の区長達が激励会を開催。悩んでいた区長を励まし、みんなで「どうしたら選手を出せるか」と考え合いました。その結果、「出場できる競技だけ参加し、足りないところは他区から選手を借りる」という対応策を見つけ出し、全行政区が運動会に参加。「“あそこの民区は参加できない”で終わりではなく、“どうしたら参加できるか”を考える方が“やれない”と否定するよりも楽しく仕事ができる」と話す辻山さんからは、住民同士のコミュニケーションだけではなく、区長同士のコミュニケーションも大切にしている様子が伺えます。お互いの苦労や悩みを共有することにより、区長という“仲間”との絆を深めているようです。
里が丘では、自治会と中里まちづくり協議会(以下「協議会」)との関係性を上手く構築している、ある「方針」があります。取材をした日、里が丘公民館では、協議会主催の「中里地区行政区対抗カラオケ大会」に向けた練習が行われていました。各区内の予選を勝ち進んだ者が民区代表選手となり、大会当日はその選手を民区住民が応援しに行きます。ですが、このような新しい企画を協議会が提案すると、民区によっては「開催日が民区行事と被ってしまう」「区内で議論する時間がない」といった意見が出ることもあるそうです。
そこで里が丘ではそのような時にもすぐに対応できるよう、“中里まちづくり協議会に協力しよう”を活動方針にしています。協議会事業への参加を促すことで行事の効率化を図り、仲間も増やしやすいためです。
狭域(民区・自治会)・広域(中里地区)の両方の視点から考えることで、運営がしやすくなる。そんなヒントをいただいた取材でした。
カラオケ大会に向け、練習に励む住民