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草刈り作業後の直会の様子(令和元年度)
(idea 2023年2月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
集落内を大平川、南小梨川が流れ、小梨地区では最も多い133戸364人が暮らす。総務部、体育厚生部、教育文化部、青年部、女性部、産業部で構成。
源義経によって建立(勧請)されたとされる「白幡神社」が集落を見守る千厩町小梨・第六区自治会。同集落は上荒井、宿、中長者、新田の4つに分けられ、それぞれに自治組織・集会所があります(上荒井振興会、宿振興会、長者部落会、新田部落会。上荒井振興会は白幡神社の社務所を集会所として使用)。
自治会は各部落会を補完するように組織され、各部落会から自治会の役員を1人ずつ選出(部落会長ではない)。そのうちの1人が自治会長を、残りの3人が副会長を担う仕組みで、副会長は6つある部会を2つずつ担当します(部会長は別に任命)。
そんな同自治会が令和4年度から始めたのが、その名も「しゃべり場」。総務部が担当し、月に1回の開催です。4部落会から輪番でメインスピーカー(話者)を選出。人生・仕事・地域・趣味の話など、テーマは自由で、話者を中心に、参加者(=自治会員)がざっくばらんに話をし、自然と「地域の資源」が共有されていきます。
「住んでいる人が地域のことを知ることで活力が湧く。住んでいる人が幸せなら、そこに住みたいと思う人も増えるのでは」という考えから、自治会長の菅原佐喜雄さんの発案で始まったこの企画。各回の参加者は10~20人程度ですが、コロナ禍で従来の活動が難しいなか、ひとつの「住民の居場所」としても機能しました。
自治会副会長の小野寺一夫さんは、「人と直接会い、顔を見て話すことの大切さに改めて気づかされた」と、企画の意義を語り、参加者からも「地域のことを知れた」「地域に興味がわいた」などの声が。実際にこの企画が地域での文化活動につながったことも。
地域の「ヒト・モノ・コト」を知ることができる場として、今後は若い人にも参加してもらい、自分の住んでいる地域に興味をもつきっかけにしてもらいたいと、総務部では期待をしています。
暮らしに直結する活動は各部落会が担っていることもあり、自治会としては親睦・交流に関する事業や、社会教育的な活動に取り組むことが多く、小梨地区で開催される事業への参加・協力等も積極的に行っている同自治会。
例えば、女性部が中心となり、住民が各々作成した手芸や趣味の作品等を小梨地区民祭に出品したり、青年部では高齢者世代を対象としたスマートフォン教室などを企画。コロナ禍前には環境整備後にバーベキューを行ったり、新年会で新婚世帯を紹介するなど、4部落会の集合体だからこそ「顔の見える関係性」づくりを意識してきました。
自治会のこうした事業は、部会を中心に、住民の声に寄り添いながら企画立案されますが、事業立案の基本となる考え方が「ほいくえん(宝育園)」。「育てたい子ども・若者がいて、育ててくれる先輩・大人がいる」そんな地域を「宝」と考え、自治会全体を「宝育園」と捉えようというものです。
「答えのあるモノではなく、『答えのさらにその奥へ』という考えのもと、地域住民の生き方、生き様を聞きながら、人を知り、共有し合う」という、子どもから大人まで全員参加の自治会運営を目指すための考え方として菅原さんが提唱。総会資料等を通して住民にも周知しています。
同自治会の目下の課題が里山の管理。中山間集落であり、集落内には各所に里山がありますが「管理の差が出てきた」と言います。
所有者である地域住民個々の問題とせず、「自伐型林業なども視野に、里山に関する課題を自治会として『仕事』にしていくことで、若い人も含め、山と一緒に暮らすことができる地域にしていきたい」と考えている菅原さん。「荒れた里山を見るのは心苦しい。動物たちの棲み処と人間の暮らす場所などが棲み分けされた気持ちの良い山の管理を、自治会として目指していきたい」と続け、小野寺さんも「完全な状態に戻すことは難しいが、高齢者世帯などが管理を頼る先の一つに自治会があっても良いのでは」と前向きです。
部落会では担えない部分を自治会が担うというスタイルの同自治会ですが、「4部落会で協力し合える」という認識をより深め、部落会同士の連携、部落会と自治会との連携など、「相互作用で活動できる仕組みづくり」を目指し、「宝」を育てていきます。
すがわら さきお
菅原 佐喜雄さん
1期2年目。長年(連続ではない)同自治会の副会長を務めており、より良い自治会運営について模索を続けています。
A.素敵な
おのでら かずお
小野寺 一夫さん
3期6年目。自治会活動に尽力しつつ、「千厩地域市民劇場『どっから座』」にも所属し、脚本を担当しています。
A.進取 実践の場
総務部が担当し毎年秋に開催している防災訓練。消防署職員の方から講話をいただくことも。写真は令和元年度の様子。
第5回(令和4年9月)の話者は元幼稚園教諭の小山菊子さん。田村家の子孫であり、白幡神社に嫁がれています。
4つの部落会単位で取り組む資源回収。常設の資源回収倉庫が設置され、随時資源ゴミを回収。各部落会の資金源です。
第8回(令和4年12月)の話者は書道家で92歳の菅原幹夫さん。小梨村役場に勤務していた時のこと、戦争の話などが話題に。