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老若男女が参加する新春交流会の様子(令和2年)
(idea 2021年7月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
平成2年3月設立。千厩町奥玉、下奥玉に位置し、集落の北西には千厩川が流れる。行政区は千厩21区で、73戸227人が暮らす。7部体制(総務、産業、教育文化、青少年、女性、体育、福祉厚生)。
「文化会館」という馴染みの薄い名称の自治会館を拠点とする花貫自治会。自治会活動の拠点でありながら、集落の「花貫伝統文化等保存伝習施設」として使用されていることが背景にあります。
核になるのは明治26年から続く「花貫伊勢神楽」。「花貫伊勢神楽を通して親子がつながる、地域がつながる」と語るのは自治会長の金野剛一さんです。金野さんの曽祖父の世代が始めた同神楽は、昭和30年から女性も参加できるようにし、地域として舞を伝承。平成15年には伊勢神宮に参拝し、舞を奉納してくるほどに。
年々子どもの数は減少している同自治会ですが、自治会内の小学生は原則全員参加のため、現在は子ども10人、地区内有志10人で保存会を組織。当初から変わらない笛、太鼓の構成で活動しています。
保存会には教育文化部が活動費をサポートしており、地域行事で舞を披露するほか、「奥玉地区民芸大会」の出演に合わせ、一緒に定期練習も行っています。
同自治会事務局長の村上達男さんは、伊勢神楽について「子どもたちが地域に関わる機会だということを意識しながら活動している」と言い、金野さんも「コロナ禍のため、奥玉地区民芸大会や自治会発表などは中止になっているが、子どもたちへの伝承活動は継続して行っており、地域に根差した活動」と続けます。
「感心な子ども表彰」というユニークな表彰制度を平成17年度から開始した同自治会。1年間の自治会活動における子どもたちの行事参加に感謝の意を込めて、自治会内の小学生を表彰するものです。
賞の内容は「なかよし努力賞」「かがやき優良賞」など、それぞれの児童に合わせて変えることで、表彰式を盛り上げています。
ひと昔前は「〇〇さん家の子」と、自治会内の子どもたちは概ね把握し、見守ることができていましたが、少子化で子どもの数は減っているにも関わらず、自治会内に子どもがどのくらいいるのかを把握しにくくなっている現状が……。そうした課題を打破することが同表彰の狙いでもあります。
また、同表彰には「子どもたちが自治会活動に参加するとともに、その親御さんにも地域に出てきてもらい一緒に地域運営に関わってもらう」という効果も。実際、子どもたちと一緒に保護者も活動に参加しており、終了後にはアイスやお菓子など、子ども向けの労いをしっかり用意しています。
子どもたちが特に活躍するのが花壇整備。花壇整備は青少年部の担当ですが、子供会と連携しており、整備作業には子どもたちも多数参加します。花の苗は千厩高校の生産技術科で生産したものを活用しますが、平日の日中に動けない保護者世代が中心のため、代わりに同部以外の地域の人が苗を取りに行くなど、お互いに小さな助け合いをすることを心掛けているとのこと。
こうした日頃の関係性ができていることで、保護者世代も困りごとがあれば自治会に相談してくれると言い、相談を受けて通学路の草刈りなどを自治会としてサポートしたことも。保護者世代に役を持たせつつも、そのカバーも忘れません。
各専門部が中心となり、老若男女が参加できる事業内容を企画している同自治会ですが、10年以上前から農家組合、愛林会と合同で行っている「自治会等合同研修旅行」には、多い年で約30人が参加。近年は震災復興応援を兼ねた被災地研修として、東北地方の沿岸被災地をめぐり、災害時の対応や防犯対策を学んでいます。見て感じたことから、地域で活かせる内容等の意見を出しながら、地域運営の参考にしているのだとか。コロナ禍で参加者を制限してはいますが、令和2年度も実施しました。
また、同自治会では奥玉地域の地域協働体・奥玉振興協議会や、市内の他自治会等との連携にも積極的に取り組んでおり、奥玉振興協議会等が主催する「奥玉ふるさとまつり」の「仮装盆踊り大会」にも毎年参加。その年の流行などを踏まえ、子供会を中心に準備・参加しています。
少子高齢化の時代だからこそ、自治会活動における子どもたちの役割を幅広く創出し、そこから住民同士のつながりを強めていく仕組みは、同自治会の大きな強みと言えるでしょう
こんのごういち
金野剛一さん
令和3年4月からの新自治会長ですが、自治会運営には長年関わっており、これまでも盛り上げに貢献してきました。
A.共同
むらかみたつお
村上達男さん
昭和52年にUターンし、自治会の立ち上げ時から自治会運営を支えてきました。地域の歴史にも詳しく、頼りにされています
A.喜怒愛楽
120年以上続く「花貫伊勢神楽」は大東町大原からの伝承。写真は令和元年度「奥玉地区民芸大会」での披露の様子
新年会の際に行っている同表彰。コロナ禍で新年会が開催できなかったため、今年は表彰式だけを単独で行いました。
奥玉地域全体が力を注ぐ花壇整備ですが、同自治会では整備活動を子どもたちとの親交の場としても位置付けています。
防災に関する研修を兼ねて三陸海岸の被災地を回る復興支援研修。写真は令和2年に大槌町を訪れた際の記念写真。