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（idea 平成24年vol.５掲載）※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

　下内野自治会は、39戸１２２人が暮らす中山間地帯で、清流「砂鉄川」の上流に位置し、過疎化と高齢化の渦中にありながらも住民が一丸となって地域づくりを行なっています。

　平成元年に同自治会を設立し「結の精神」に基づいて、自治会役員と地域住民が力を合わせ、地域づくり活動を展開しているパワフルな自治会長の勝部欣一さんと、事務局長の小山隆人さんに様々なお話しを伺って来ました。

　旧大東町が平成９年に創設した「ふるさとづくり支援事業」のモデル自治会第１号指定を機に、地域づくりを再構築し、清らかな水を基調とした自然環境の創造を推進するため「下内野４ＷＤ計画」を策定した同自治会。「４ＷＤ計画」とは、４輪駆動の軽トラックをイメージ。タイヤ部分は前輪が、定住人口の倍増▽交流の拡大、後輪が、住環境の充実▽産業の振興と、それぞれテーマが掲げられ、ドライバーは自治会員・助手席が明日を担う青少年とし荷台には、目的へ向けての夢が満載。また、４＝老若男女・W＝Water・D＝Dreamと言葉の意味合いもユニークです。この４ＷＤ計画に基づき、さまざまな事業を展開しています。

　河川環境の大切さを学び、水質保全に対する住民意識の高揚を図るための活動として平成６年から開催された「石磨き大会」。開催当初から指導頂いた日本大学河野教授をはじめ学生との交流も継続され、今年で19回目を迎えました。石磨きとは、「古縄たわし」を使用。川の石についた有機物を除去し、石の下に酸素を送り込むことで川の清流化に繋がり、水資源に対する意識啓発や向上に大きく寄与しています。今年８月に開催された「石磨き大会」には、日本大学の教授・生徒、地域住民・地元の小中学生など１２０名の参加で川に親しみながら、「かじか」が棲める清流の保全に取り組みました。また、日本大学との交流では、「田舎教授」として同自治会員を大学へ派遣し講師を務める事業も展開。田舎の良さをアピールする田舎教授も板に付いてきたと好評なのだそうです。

　地域づくりの仲間として定住者を受け入れようという「全世帯宅地分譲」事業は、自治会員がそれぞれ未使用の農地を出しあい、1区画１０００平方メートルを基本とした散居型による農地の現状分譲です。現在４世帯が定住し、同自治会の会員となり地域づくりのパートナーに加わりました。定住者は思い思いの場所に家を建て野菜などを栽培し田舎暮らしを満喫しているということです。しかし、「定住者なら誰でも」ということではなく、「定住住民審査制度」という制度を自治会で創設。「豊かな自然環境に価値観を共有できる」と自治会員が認めた人にだけ住んでもらおうとするものとのことで、地域づくりへの熱い思いが強く感じられました。

　さまざまな活動の拠点とも言える、居酒屋「モツ」は同自治会のふれあい会館敷地内にあり会員制で運営され、毎月１日に月例会を開催し「モツを食べ、飲みながら腹を割って語り合う場」です。35年も続く月例会はいつの時代もここで、地域の将来像を語り、一歩一歩前進されていったのです。

　「地域づくりは、一人ではできない。10年、20年先の地域の在り方をみんなで話し合い、一歩一歩前進させていくのが地域づくり。」と語る事務局長の小山さん。今後も、石磨き大会の開催や中国との国際交流の他、田植え踊り伝承保存事業、農作業受委託組合の運営など継続的に取り組み、「下内野４ＷＤ計画」に計上されている「あなたのそば屋」運営事業、中国の薬草栽培等にも取り組むとのことです。「地域づくりに終わりはない」と、新たな地域計画づくりに今後も挑戦していく力強さが伝わりました。また、自治会長自身が作成しているホームページでは、随時、自治会活動の様子が更新され、情報発信を行なっています。