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平成30年の「六日町ほのぼの会」での余興
(idea 2021年2月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
「大原水かけ祭り」で裸男たちが駆け抜ける大原商店街沿いの自治会。隣接の一市、立町と3町内会で大原の中心地を担ってきました。北は砂鉄川、南は旧大原小学校(現(株)八木澤商店大原工場)まで、約95世帯230人が暮らします。
中世の定期市「一六市」が由縁とされる六日町。隣の一市が毎月1日に、六日町は6日に市が開催されていたと考えられる宿場町です。かつては大原に120店あった商店の大部分は一市・六日町・立町の3町内会に集中していたと言いますが、残念ながら現在は空き店舗も目立つようになってしまったのが現状。それでも「大原水かけ祭り」の際には、六日町地内に拠点が設けられるため、かつてのような賑わいを見せます。
自治会発足(※1)は平成元年ですが、「六日町自治会館」という組織で、自治会化と言いながらも各種団体と横並びのような位置づけでした。徐々に規約や組織体制の見直しを行い、平成14年に各種団体を発展的に統廃合。自治会の専門部として取り込みます。
「今の組織体制になるまで先輩たちは本当に苦労してきたと思う。先輩たちの知恵はすごい」と、尊敬の眼差しを見せるのは7代目自治会長の菅原和男さん。先輩たちへの尊敬の念は「自治会創立30周年記念式典」そして記念誌『自治会のあゆみ』として令和元年10月に事業化。文字通り自治会のあゆみを振り返りました。
総務部長の太田行宏さんは「この辺りで現体制に至った経緯をまとめた方が良いのではという機運が自然とできていた。まとめることで、次の世代も協力してくれるのではという期待も」と、記念誌を編集した背景を振り返ります。
※1 自治会発足以前は隣の一市と「一六会館」という会館管理を主とする自治組織を持っていたが、その組織を発展的に解散し、各々に自治組織を結成。なお、会館自体は現在も一市と合同で使用しており(平成3年建替え)、会館の管理運営に係る組織は一市と合同で組織している。
同自治会の組織体制で驚くべきは理事の人数。加入する約85の各世帯から1人は自治会の役を担うように調整しています。6部会の部員が理事を兼務するため、理事の数は80人以上!選任にあたっては、会長が部長を任命し、部長が自分の部の部員を選出していくスタイル。この体制には、組織体制を築いてきた先輩たちの「みんなでやろう」という気持ちが表れています。
また、自治会で参加する大原地区の運動会にも同様の考え方が。体育部が運動会の選手名簿を作成しますが「もれなくみんなが選手に」なるよう調整した後、全戸配布します。「もちろん実際に参加してくれるのはごく一部だけど、『みんなで』という想いだけは伝え続けたい」と力強く語る二人。自治会役員にしても、運動会の参加者にしても、近年は「実質の参加者確保」が課題になってきているとは言いますが、課題解決にあたっても「みんなで」考え、進めていきます。
「社会教育への取り組みが行政でも薄くなりつつある今、地域が様々なことを教えていかなければいけない」という想いから、同自治会では「年賀会」の中で、一般教養につながる項目を長年盛り込み続けています。
その一つが「御冷酒の儀」。厄年の人が「玉串奉奠」や「三々九度」等の作法を学び、実際に儀式を行います。その他にも「祝謡」や「紋付き袴」を着ての記念撮影など、様々な「経験」の機会を提供。太田さんは「『家庭』が基本的なことを教えていく場だが、家庭教育にも限界が来ている。社会教育は人づくり。いずれ地域運営にもかえってくる」と、昔ながらの儀礼を大切にしていく意義を語ります。
この「年賀会」を担当する「六若年賀会」は、自治会化以前は「大原水かけ祭り」に付随する会でした。大原町内には同様の団体が複数ありますが、自治会の部会に位置付けるケースは少ないのだとか。あえて自治会に取り込み、部会の一つとして「自治会としての事業」にも取り組んでもらうことで、水かけ祭りだけでなく、自治会そのものの活性化にも結び付けています。
そのほか、ミニ敬老会として平成3年から開催している「六日町ほのぼの会」にも独特の企画が。80歳以上を当祝者として開催しますが、会を盛り上げる余興には、平成16年から活動するサロン「六若年長さん」など、当祝者も参戦!祝われる側に留まるのではなく、参加者全員で楽しむスタイルです。
自治会創立30周年を機に、自治会内に「表彰規定」を設け、自治会活動へ尽力した住民を讃える体制も整えた同自治会。老若男女、新旧住民の隔てなく、みんながつながる自治会運営を目指し続けます。
すがわらかずお
菅原和男さん
大原商店街で「山二菓子舗」を営む菅原さん。自治会長は2期4年目ですが、六若年賀会などで地域の盛り上げに貢献してきました。
A.人材と和 将来有望
おおた ゆきひろ
太田行宏さん
平成16年から事務局として自治会運営を支えてきた太田さんは総務部長3期6年目。地域の歴史にも詳しく、頼りにされています。
A.伝統と人のつながりがある自治会です
令和元年に発行した自治会創立30周年の記念誌。自治会のあゆみはもちろん写真や資料も満載です。
同じく年賀会の中で行われる年祝いの記念撮影。男性は紋付き袴、女性は着物姿で撮影します。
年賀会の中で行われる「御冷酒の儀」の様子。日常では機会の少ない儀式を経験させています。
大原水かけ祭りで活躍する「六若手踊り会」。女装で厄年の家を周り、手踊りで厄払いをします。