※お願い※
記事内の写真や資料は、当情報誌での使用について許可をいただいて掲載しております。
無断での転載などの二次利用はご遠慮ください。
サロンで開催した敬老会にて、敬老者のみなさん(令和5年実施)
(idea 2024年4月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
行政区は渋民1区。25世帯61人(3班体制)が暮らす。曽慶地域の中で最も世帯数・人口ともに少ない中山間集落。環境部と納税部(市から委託される環境整備や納税事務等の受け皿)以外の部会は設けず、自治会内の各種団体と協力・連携しながら進めている
昭和40年代頃に組織された曽慶1区自治会は、「上・中・下」の3班に分かれる25世帯(戸数は24)で、曽慶地域の中でも小さな自治会です。「ここ数年で2軒空き家となったが、昔から30戸には満たず、かえってまとまりのある集落。だからこそ、自治会組織のあり方も事業も無理のない範囲で」と語るのは、自治会長の佐藤寿幸さんです。
自治会の事業は役員(会長、副会長、事務局(会計・庶務))で企画運営しますが、集落内の既存団体(女性部、1区自治会サロン「楽々」、消防団等)が自治会協力団体として関わっているため、必要に応じて各協力団体の意見を聞いたり、役員会に出席して意見を述べてもらうことができるようになっています。
「集落内は、65歳以上が31名で高齢化率は51%(令和5年12月末時点)。役員を担う世代(60代~70代)がほとんどで、かつ、戸数はもともと少ない。だから、一人ひとりが役割を持ち、お互い協力し合える体制が脈々と受け継がれてきているのでしょう」と続けます。
同自治会の事業は4月のお花見会に始まり、5月~10月の花壇整備・道路清掃活動・県道草刈り、11月の日帰り温泉旅行、1月の新年会、3月の総会で一区切り。コロナ禍では、お花見会や日帰り温泉旅行、新年会と飲食を伴う交流は控え、花壇整備や環境整備活動のみを継続してきました。
しかし、高齢者等が「家から出る」ことが極端に少なくなり、小さな集落でも「顔が見えない」日々。不安を感じた役員等が話し合いを重ね、一関市が推奨している「百歳体操」を令和3年4月から自治会として取り組むことにしました。
3か月ほど継続すると、「せっかくこうやって一人暮らしの方や高齢者が集まることができたのだから、体操だけではなく、お茶会やお楽しみ会ができるようなサロンを立ち上げてはどうか?」という動きが。そこで区長や自治会長、副会長等が世話人となり、令和3年8月、「1区自治会サロン『楽々』」を立ち上げました。
世話人の一人で同自治会副会長の佐藤とし子さんは「一時期は本当に顔の見えない状況が続き、それまで元気だった人たちもなんとなく落ち込んでいる様子を見て『このままではダメだ』とハッとしました。高齢化だからこそ私たちが住む集落をみんなで支え合って、協力していこう……そんな思いに駆られ、サロンの立ち上げに至りました。後期高齢者となると、なかなか家から出たがらないこともありますが、声を掛け合って、きっかけをつくり『元気でね。また再来週会いましょうね』と、安否確認ではありませんが、そうやってお互いの状況を話せる場としてコロナ禍でも立ち上げることができて良かったと思っています」と語ります。
サロン活動は、毎月第2・第4火曜日の午前中で、女性部等に協力をもらい、食事を振舞ったりすることもあるのだとか。男性参加者も多く、同自治会の特徴ともいえる「集落内の各種団体との連携」の一つとして交流事業が定着しつつあります
サロンでも度々食事提供の協力をしている女性部は、自治会の協力団体として、独自に事業を計画しています。農作業が一段落した11月になると、自治会館を利用して手芸教室を開催。干支のぬいぐるみやタペストリー、キルティングバッグなどを製作し、毎年「曽慶地区文化祭(一関市曽慶市民センター)」に出展しています。指導者も自治会員のため、和気あいあいと女性陣の交流の場ともなっています。
「女性部の活動は大変活気がある。通常のサロン活動でも焼き立てのパンを提供いただいたり、楽々での敬老会は食生活改善推進員による献立で調理協力をいただいたりと、美味しい食事も参加者の楽しみの一つでもある」と自治会長の佐藤さん。
「5年後には高齢化率が70%近くになるので、既存の活動を含め、何かしら検討が必要になってくる」と、今後の自治会活動の課題を捉えつつ、「お互いが協力し合いながら『できることをできる範囲で』をモットーに、今後も交流事業を通して、顔が見える環境づくりは継続していきたいものです」と、小さな集落だからこその活動を大切にしていきます。
さとう ひさゆき
佐藤 寿幸さん
2期3年目。35年前に御縁があって静岡県から大東町曽慶に。4期8年、事務局(会計・庶務)として自治会に携わってきました。
A.結束力
さとう としこ
佐藤 とし子さん
2期3年目。サロン「楽々」の立ち上げ時のきっかけをつくり、声を掛け合い、みんなで協力することを大事にしています。
A.みんなの輪と和を大切に‼
班単位で作業する自治会花壇。市が開催する「花いっぱいコンクール」に毎年参加し奨励賞、教育長賞も受賞しています。
対象者31名中16名が常時参加。「百歳体操」のほか、季節行事や勉強会、食事会などを企画し、楽しいひと時を共有します。
全世帯が協力的に参加する草刈り作業。市道周辺、農道、花壇周辺、防火用水設置場所など、分担して作業にあたっています。
女性部の手芸は集落の自慢の一つ。昨年の文化祭には四季折々のタペストリーと干支(兎)のぬいぐるみを出展しました。