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今年37回目を迎える自治会運動会(写真は昨年の開催の様子)
(idea 2019年9月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
大東町渋民出身で、国内の刑法思想の根本原理を論じた「無刑録」の著者である芦東山の生誕集落であることからその名を用いて、平成6年に東山郷自治会を発足。51世帯、185人が暮らしており、5つの専門部(納税部、生活環境部、体育部、女性部、自警団(防災部))を組織しています。
今回お話を伺ったのは、東山郷自治会(行政区は渋民9区)で、自治会長歴3期6年目の小崎盛人さんと、初代自治会長であり、現在は区長4期7年目の及川紀夫さんのお2人です。
同自治会館は、自治会組織を発足する以前の昭和45年、大原病院の材木を譲り受け建設、昭和62年現自治会館を新築し、住民の集いの場として活用してきました。昭和58年、当時の大東町から健康づくり模範集落に指定され、健康づくりの一環として自治会運動会を開催、現在まで引き継がれています。
「人集めに苦労する部分もありますが、何かしようとする時は協力的な集落です」と語る小崎さん。「いつでもどこでも協力しなければならないという環境よりも、個々が無理のない範囲でやりたいことに協力できる環境であったほうが活動に関わりやすいと思うし、そういった環境づくりをしていくのが我々役員だと思う」と続けます。
長年継続している自治会運動会は、高齢者と子どもたちが楽しめる競技を中心として、その応援に親世代(若者層)が加わり交流がもてる仕組みにしています。及川さんは、「当自治会もご多分に漏れず高齢化が進んでいます。当時一生懸命に集落を盛り上げようと奮闘した若者たちは高齢者の仲間入りをしています。自治会行事の多くは『若者と高齢者の関係づくりの場』として、交流というよりも関わる時間、きっかけづくりそのものを大切にしています」と語ります。
中山間地域に位置している同自治会は、兼業農家世帯が多く、自治会組織のほか農家組合組織等と協力して活動しています。「それぞれ組織の役割は違うものの、地域づくりという観点で協力し合いながら進めています」と語る小崎さん。特に農家組合組織内の有志で立ち上げた「東山郷福餅つき隊(以下、「餅つき隊」)」は、「集落の自慢の1つ」だと続けます。
米の消費拡大を狙うと共に、大東町の餅文化と餅つき歌を継承すべく農家組合役員を中心に構成し、集落民の家庭で眠っている臼や杵を譲り受け平成14年に結成。餅つき隊は、同自治会主催の「東山郷夏祭り」への参加をはじめ、渋民文化祭や他地区でのイベント、結婚式などのお祝いの場など、広範囲で活動しています。
東日本大震災後は陸前高田市の仮設住宅へ出向き、「少しでも皆さんの元気の源になれば」と餅つきとお振る舞いを実施。3年ほど継続した中で、「被災地の方々の笑顔が増えた気がして嬉しかった」と、及川さんは当時の写真を見つめながら振り返り、「餅つき隊はおかげさまで各所からお声がけをいただいています。無理をせず、その時に参加できる人が隊員として活動することが長続きの秘訣かな」と語りました。同自治会が活動の原点にもしている「個々ができることを無理のない範囲で協力する」という環境や雰囲気が地域にあり、ゆとりのある協力・連携の形ができているように感じました。
餅つき隊も参加している「東山郷夏祭り」は同自治会の夏のメインイベントで、毎年、帰省客への「おもてなし」の気持ちも込めてお盆の8月15日に開催しています。各部会が持ち回りで出店を担当しており、「小さい集落ですが、この時ばかりは多くの人で賑わいます」とお2人の言葉が重なります。特に夏祭りを盛り上げるのは、自治会員で組織する「東山郷太鼓組」による太鼓演奏です。「子どもから大人までが太鼓を通じて交流を深めること」を目的に、餅つき隊同様、地域内外の各種イベントに引っ張りだこです。太鼓指導者は高齢となったため引退し、現在はメンバー同士で技術を磨き上げ、地域ぐるみで子どもたちへ継承しています。
最後に、小崎さんは「特別なことは何もしていませんが、集落内の各組織としっかり協力・連携することも自治会の役割だと感じます。地域皆で支え合っている集落ですよ」と語り、及川さんは「若いときは『自治会活動なんて』と思う気持ちもよくわかります。しかし歳を重ねるにつれて、『その時期』は来ると思うので、強制ではなく『今自分ができる関わり』を大切にしてもらえたらいいですね」と語っておられました。
おざきもりと
小崎盛人さん
大東町大原出身。ご縁あって渋民へ。仕事の定年を迎え、区長とともに、朝の通学バスの見送りが日課。子どもたちの笑顔に元気をもらっています。
おいかわのりお
及川紀夫さん
大船渡市出身。十数年単身赴任する中でも地域には若い頃から深く関わりをもち、40代で初代自治会長に就任。東山郷自治会の名付け親でもあります。
おさなぶり温泉ツアーやミニ敬老会、料理教室などを企画。料理教室では、伝統的なおせち料理を学び、腕に磨きをかけました。
現在の自治会館は昭和62年に建てられました。会館脇にはお知らせ掲示板も設置され、自治会のお知らせや会館利用状況がわかるようになっています。
今年7月に開催された大東町福祉まつりでの1コマ。餅つき歌に合わせて、餅を「つく人」「返す人」息もピッタリ。お揃いの法被姿で気合も十分です。
渋民市民センターが主催している秋の文化祭では、集落の子ども達が撮影した「東山郷の良いところ」の写真展示を行っています。子ども達は、区長の及川さんと共に集落を歩き、自由な発想で地域を写真に収めます。