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（idea 平成25年12月号掲載）※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

会長 ：藤城(ふじしろ) 修一 さん（平成23年度～） 

大東町摺沢地区の松原自治会は、29世帯90人が暮らす山間部の集落です。毎月発行される松原自治会報「ふるさと松原」は、自治会内の情報発信として平成23年4月から発行しています。

　大東町摺沢地区の中心街から２キロほど南、国道４５６号線とＪＲ大船渡線が並んで走り、小高い山々の間に民家が点在し山間に位置する松原自治会は、集落に暮らす人々が３つの「わ」を大切にしながら支えあい様々な活動に取り組んでいます。

　昭和55年、32戸１３２人が暮らしていたこの集落は現在29戸90人と最近よく見聞きする「人口減少・少子高齢化」の現状も例外ではありません。しかし、松原自治会の皆さんはとても笑顔が素敵で、毎日を生き生きと過ごし、まるで一つの家族のように感じました。

　今回、松原自治会を取材したのは、まだセミの声が聞こえる8月初旬。日本大学生物資源科学部の学生が、同自治会内で農業・農村宿泊体験をするとのことで、お邪魔させていただいたのです。

　同自治会では、平成21年から大学生を受け入れており、今年は16名が農村体験を通じ、集落の温かい人情に触れました。地域住民は、孫子が地元に帰ってきたかのように学生を受け入れ、地域の食材でおもてなしをし、交流を深めています。取材日、学生の宿泊先となる自治会内の民家には、地域の方々が集まり学生と一緒に食事の準備をしているところでした。「毎年みんなで、こうやって集まって、ワイワイと語りながら、年寄りも賑やかでしょ？」と採れたて野菜を洗いながら、素敵な笑顔で語ってくれたお母さん。「毎年、子どもだぢが、帰ってきたかのようだよ。」と、とても嬉しそうな表情が印象的でした。周りを見渡すと、老若男女問わず、笑顔の「わ」ができていました。

　素敵な笑顔の集まる松原自治会は、平成21年から２年間、自治会独自の「今日も元気カレンダー」を作成しました。このカレンダーには、自治会行事のお知らせや行事を通した住民の笑顔写真を掲載し共有していました。世界に一つしかない「今日も元気カレンダー」は、平成23年から、自治会会報「ふるさと松原」に切り替わり、現在も月一回発行し、市の広報と一緒に地域住民へ配布されています。会報の内容や写真から、楽しかった行事の思い出や、これから開催される会議の内容など、充実した記事で住民の大切な情報網となっているとのことです。

　「地域の絆が深まる場所」と語られる松原自治会館は、昭和45年に旧摺沢小学校の廃材を利用し、地域住民が協力し建設しました。平成21年には、会館設立40周年を記念に、市の地域おこし事業を活用して「地域団結強化夢追い機関紙発行事業」を実施し、松原自治会館40周年記念誌「ふるさと松原」を発行。この記念誌発行に至るまでには、同自治会副会長の菊池信一さんを編集委員長として15名の住民が自分たちの生まれ育った集落を様々な角度から取材しました。　「故郷を知り、このように冊子に残せたことは貴重な財産になっている。できれば50年誌も編集したい。」と、菊池さんは当時を振り返り語っていました。

　人口減少・少子高齢化と悩み多きこの時代。活動内容を工夫し更なる絆を深めるために何が大事かということを学べた心温まる自治会取材でした。