※お願い※
記事内の写真や資料は、当情報誌での使用について許可をいただいて掲載しております。
無断での転載などの二次利用はご遠慮ください。
自治会長 佐藤 真由美さん
(idea 平成29年2月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆自治会長:佐藤真由美さん(1期1年目)
◆丑石自治会は121戸368人が暮らす自然豊かな地域です。一関市と興田振興会が2013年に選定した「興田地区十景」に選ばれた地域の名所「小黒滝」は、現在放送中のNHK大河ドラマ「おんな城主直虎」のロケ地の一つになりました。
丑石自治会長の佐藤真由美さんは千葉県出身で、結婚後子育て環境を考え、旦那さんの出身地大東町興田地域に引っ越してきました。興田に暮らし31年になる佐藤さんは「結婚したての頃は、田舎で暮らすなんてちっとも考えていなかった」とよく通る声で話されます。千葉県で合唱団に所属していた佐藤さんは、別の団体に所属していたご主人と出会い、生まれ育った環境とまったく違う“百姓の家”に嫁ぎました。
「今の歳になってやっと百姓の面白さが分かってきた」と満面の笑みを見せる佐藤さんは「若い時には夏の暑い中草取りをするなんて…と思っていたくらい。でも今は真心こめて野菜を作り、それを食卓に出す。素晴らしいことだなと思います」と語り、丑石地区を「自然の恵みがいっぱいの所。春にはワラビやタラの芽、夏には茗荷(みょうが)、秋には栗など山の幸がいっぱい。冬になれば孫と雪遊びも満喫できて、生活しているだけで四季を感じられる」と続けます。
昨年、前自治会長の急逝に伴い、役員改選が行われた丑石自治会。「ご多分に漏れず、私たちの地区も高齢化。『年取って雪かきでぎねー』『草刈り大変だー』『ここで暮らしていけるべが?』『子ども達帰って来てくれるべが?』と地域課題を言い出せばきりがない。そういった中なので、なかなか自治会長が決まらない。そこで、『よし、わがった!みんながサポートしてけるのであれば』と私が自治会長を引き受けることになりました」50代女性自治会長の誕生です。このことがきっかけとなり、役員も総入れ替え。50代前半から60代前半の若いメンバーでの新体制となりました。
「ここは女性がとっても元気な地域だから、『こういうことやろう』と女性陣がいうと、男性陣がしっかりサポートしてくれる。ただ『手伝いはするけど主体にはなりたくない』と言う人も多いかな?でも、何かするきっかけを作らないと重い腰は上がらないからね。『それでいいのが?なんとかしなきゃいけない時期じゃないのか?』と喝を入れたよ」と、やはりよく通る素敵な声で当時のエピソードを教えてくれました。
昨年、地域課題について協議し合う中、“H28レディース「蓬莱(ほうらい)の郷」地域活性化隊”を女性有志5名で結成。佐藤さんはその隊長です。「自治会組織とは別所帯ですが、目指す目標は同じ。限界集落になる前に住民が連携し、支え合っていかなければならない時代」と語り、地元食材の利活用による特産品づくりや北限の竹活用などの取り組みを今後考えています。現在は、空き店舗を改装した集いの場所“ほっこりcafe”のオープンに向けた準備の真っ最中。「昔は収穫がひと段落したり、雨が降ると孫子守りしながら身近で集い、たわいのないおしゃべりをし、持ち寄りの料理を食べたり教わったり、そうやって知らず知らずのうちに結の精神が生まれていったと思うんです。そういったことが最近ではめっきりなくなりました。何かあった時だけじゃなく、普段から顔の見える関係づくりにもう一度集落全体で取り組み、次世代にもこの共助の力がつながっていってほしい」と続けます。
最後に「集落の若者が『ここで育ってよかった、子育てできて幸せだな』と感じてもらえるように今後もみんなで協力し合いたいと思います」と語っていただきました。
(Photo by Kazuyoshi Oyama)
地域の名所「小黒滝」季節ごとの風情が人々の心を癒します。