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(idea 平成31年4月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
昭和57年発足。およそ50戸170人が暮らす山間農村集落。行政区は室根17区で津谷川地域にあたる。総務部、生活環境部、体育部、産業部、地域振興部、女性部の6部会+自主防災会などを組織。
県道18号線を室根から本吉方面に車を走らせていると目に留まる「ホタルの里」と書かれた手作りの看板。竹野下自治会の地区会館はこの看板のすぐ隣です。
取材の依頼をすると、「うちの自治会で良ければどうぞ。ホタルの活動は落ち着きましたが、他にもいろいろとやっていますから」と、良い意味で期待を裏切るお返事がさらりと返ってきました。
そばを手打ちする「男の料理教室」や、30人以上が参加する「温泉ツアー」、新成人や新婚カップル、歳祝いの人を招待して開催する新年交賀会など、お話しを伺うと確かに約50戸という小規模集落とは思えないような多様な活動をしていることが判明。
今回は住民間の親睦を深める機会を、自然に、かつしっかりと創り出している同自治会の活動について、自治会長の及川達雄さんにお伺いしました。
山間農村集落の同自治会。専業農家は少なくなってしまったとのことですが、そのほかの家でも兼業農家として田畑を有しています。そこで毎年開催しているのが農産物品評会です。農家組合で仕入れた種芋を全戸に配布し、収穫した里芋を秋の収穫祭に出品します。収穫祭で賞をもらった里芋はさらに室根全体の産業文化祭に出品されるという栄誉もあり、ほぼ全戸が栽培に参加しているというから驚きです。
収穫祭の品評会には里芋だけでなく、様々な野菜が出品されます。また、安価で野菜が並ぶ青空市(野菜市)も開催されるため、最近では集落外の人もお客さんとして訪れるのだとか。
「せっかくみんなで里芋を育てるのだから、その里芋を使った料理教室などにもつなげていければ」と、及川さんの頭には今後の展開も浮かんでいます。
里芋の全戸配布に驚いていると「毎年8月15日に行う夏まつりの花火もすごいんだよ」と誇らしそうな及川さん。
毎年、講習会の受講が必須というレベルの花火を仙台から仕入れるという同自治会。その額は毎年10万円超!どうせなら見ごたえのあるものをと、集落内から花火のための寄付もあるという熱の入れようです。
ゲストを呼んでの歌謡ショーや屋台なども並び、帰省者も含めた老若男女が地区会館前に集います。
また、10年以上続けているという「男の料理教室」には15名ほどが毎年集まります。12月にそば打ちの先生をお呼びしてそば打ち教室を行うそうですが、それはあくまでも練習。練習の成果は大晦日に再度集まって作る年越しそばに発揮されます。年に一度のこの機会のためにみなさん自前のそば打ち道具を用意しているのだそうです。
そんな同自治会の活動を支えるのは6つの部会の部長・部員さんたち。体育部や地域振興部(青年部を改名)には若い世代も揃います。
「部長さんの考えを吸収し、意欲的に取り組める環境づくりをすることが自治会長の役目」と話す及川さんですが、室根図書館の館長を務めた経歴も活かし、「自治会活動でも図書館の有効活用を図りたい」と、自身の目標も忘れません。
そもそも「ホタルの棲む里づくり」に自治会として取り組んだのも当時の青年部たちの「ここの自然を活かして何かできないか」という発想でした。ちょうど当時の自治会長さんが理科の教員だったこともあり、ホタルの餌となるカワニナを放し、ホタルを呼び寄せ、育てることに取り組みました。先進地の視察に行くなど熱心に活動を続けた結果、見事にゲンジボタルが飛び交うようになり、ホタルまつりを開催していた時期も。
現在はカワニナも定着し、改めて取り組まなくてもホタルを楽しむことができるようになったことから、ささやかなホタル観賞会を行う程度と言いますが、その環境を保ち続けることができているのは、日頃の自治会活動の賜物と言えます。
ささやかと言っても30~40人が鑑賞会に集まるということですから、ホタルを介した交流は今も昔も地域住民をつないでいます。
おいかわたつおさん
及川達雄さん
竹野下自治会長(1期1年目)。副会長を2期務め、平成30年度より自治会長へ。
A.①おいしい里いもをみんなで栽培しています。②ゲンジボタルが飛んでいます。③盛大な夏祭りを行っています。
くさかていこさん
日下貞子さん
地区会館のすぐ横で商店を営んでいるため、会館の鍵を管理しています。
A.超自然!夏はホタルが飛びかいおだやかな住みよい里です。
自主防災会の避難訓練は地区民が多く集まる収穫祭に合わせて行います。有事の際の役割は地区会館に掲示されています。
収穫祭で開催される青空市での1コマ。パパと一緒に小さなお子さんがリンゴ販売のお手伝い。地域の中で子どもたちも育ちます。
「ホタルの里」と書かれた手作りの看板。ホタルが実際に見えるのはこの看板付近の川ではなく、山あいの沢や水路とのこと。
同自治会では長年「謡い」に取り組んでおり、新年交賀会等の場で披露されます。新年交賀会のしおりに同自治会のロゴマークを発見!