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(idea 平成27年4月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆自治会長:三浦 正さん(2期3年目)
◆宮城県との県境に近い34世帯(約140人)
の小さな自治会ですが、地域資源を活かした取り組みにより、地域内外との様々な交流の機会を生み
出しています。
「前の自治会長は40代の頃から20年も会長職をやった。その頃にできたものを引き継いでやってるだけ」そう笑う現自治会長の三浦さんは2期3年目。この地区に生まれ、この地区の営みを見守ってきた一人です。
室根第19区自治会は、宮城県気仙沼市本吉町との境界に近い山間部にある小さな集落です。気仙沼市本吉町小泉地区へと流れる津谷川の中流域で、集落の中心を流れるこの川を起点として様々な取り組みを行っています。
自治会のメインイベントは、平成4年から続く本吉町の小泉川鮭増殖組合との交流事業。川の清流化につなげようと、毎年11月に地元の子ども達と親鮭を放流しますが、親鮭は同組合が「上流あっての下流」と無償で提供してくれています。このイベントは農家組合が行う収穫祭ともタイアップし、鮭の放流だけに留まらず、3世代間交流にもつながる一大イベントとなっています。また、川の積極的利用を目指し、いかだづくりにも10年以上取り組んでいます。夏は自治会で制作したいかだを川に浮かべ、子ども達が自由に遊べるようにしています。地元の子ども達はもちろんのこと、室根町が交流を行っている埼玉県吉川市の子ども達がホームステイに来た時の楽しみにもなっているそうです。
津谷川地区では津谷川小学校の閉校に伴い、子供会の再編が行われました。津谷川地区には5つの自治会があり、当時はそれぞれの自治会に子供会がありましたが、閉校後は2つの会に再編(16区~17区、18区~20区)。そのため、自治会としての子供会へのサポートが難しくなってしまいましたが、19区自治会では川の水生生物調査を子供会に委託することで、活動費をサポートしています。子供会としても、夏休みの行事の中に組み込み、楽しみながら川の保全活動を行っています。
鮭の放流事業の際にも、自治会内の子ども達にではなく、子供会に声をかけます。そうすることで、自然と自治会を越えた交流へとつながっていくのです。
自治会運営の工夫は自治会費にも反映されています。一世帯当たりの自治会費は2500円で、不足分は廃品回収や「材料の持ち寄り制度」で補っています。鮭の放流イベントの際には豚汁を作りますが、自治会報で事前に必要な材料を告知し、各家から持って来られるものを持ち寄ってもらうそうです。「少しでも住民の負担を減らすためにね」と、小さな山間集落ならではの工夫ですが、お互いの信頼関係の強さが垣間見えます。
「そろそろ復活させようかと思ってるんだ」と、三浦会長は現在休止中のお盆行事復活への取り組みに前向きな姿勢を見せます。数年前、地区内で初盆が重なったことで中止にして以来、現在まで休止状態にあるお盆行事。盆踊りや花火のほか、飲食コーナーを設置し、帰省者との交流の場になっていたそうで、地区の中から「交流の機会が減って寂しい」という声が出てきているそうです。地区内の声に耳を傾け、柔軟で自然な仕組みで地域づくりに取り組む室根19区自治会。お盆行事の復活によってさらなる飛躍が期待できそうです。