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ガードレール・カーブミラー清掃の様子(令和2年10月)
(idea 2022年4月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
川崎町薄衣地内、国道284号線の川崎小学校付近から北方に広がる中山間集落。57世帯約180人が暮らす。自治会活動は部会を中心に行われ、総務、産業、体育社会、教育文化、生活環境、高齢、女性、青年、笠松保存の9部会がある。
いつから始まったか定かではないほど長年続いているガードレール・カーブミラー清掃。個人でガードレール清掃を行っていた集落内の男性の後を継ぐように自治会の高齢部が担うようになり、少なくとも30年以上は続いています。
今では自治会全体の取り組みとなり、自治会員の半数以上となる約100人が参加。作業自体は班毎にチームとなり、高圧洗浄機なども用いて本格的に清掃します。
子どもたちはバケツで運んだ水をガードレールにかけ、デッキブラシやスポンジを使って清掃していくなど、それぞれの年代に合わせた役割があるため、子どもから大人までやりがいを持って関わることができ、世代間交流の場としても位置付けています。
そんな同自治会が大切にしているのが、毎月開催する「運営委員会・自主防災会議」という話し合いの場。各部が事業の進捗や悩みを共有し、解決策を話し合いながら、方向性を決めています。
また、毎月発行する「自治会だより」では、地域住民から寄せられた課題に対し、どのような取り組みを行ったのか報告するほか、年末には「外山東部自治会10大ニュース」と題し、事業の実施報告や年間の活動報告をきめ細かく掲載。地域全体で共有し合いながら活動を行っています。
資源回収(有価物集団回収事業)にも取り組む同自治会ですが、その方法にはある工夫が。かつては子ども会や役員が中心となり、紙類や空き缶・空き瓶などを集めていました。しかし、子どもが少なくなると、保護者や役員に負担が偏ることが多く、その割に報奨金は多くないため、事業継続が重荷となっていました。
そこで実施したのが事業の「見える化」。報奨金の目標額を明確に設定し、報奨金の使途や実績を詳細に住民と共有しました。また、紙類や空き缶・空き瓶を中心とした資源回収では報奨金に限界があるため、地域の特徴を生かした「主力資源」の回収にも取り組むことに。同自治会エリアは中山間地域で農家が中心。使用できなくなった農機具やビニールハウスの骨組みなど、多数存在する「鉄くず」の回収を始めました。「家や敷地内の片付けをすることで、地域の財源になるなら……」と、住民も競うように家の片付けをするようになったとか。
併せて、役員等が各戸を回るのではなく、地域内4か所に資源回収場所を設定する方法に変更。各家庭ではそれぞれ最寄りの回収場所に持って行き、その回収場所に業者のトラックが直接向かう流れにしたことで、役員等の負担軽減を図りました。
副会長で総務部長の菅原新市さんは「目標を明確にし、目標に向かって活動しているということ、自分の活動が少なからず地域に恩恵を与えていることなどを、住民自身が感じられるようになり、地域住民の活動意欲が高くなった。前年度の目標額を超えようという機運が自然に出てきているように感じる」と、効果を実感します。
資源回収の仕組み改革をして10年が経ちますが、高齢者世帯など、眠ったままの資源(廃品)はまだまだあり、「高齢者世帯などの片づけを資源回収の一環で手伝うことで、つながりが生まれ、世代間交流にもなる」と、自治会長の氏家政敏さんも笑顔を見せます。
「共同事業」として、自治会員が力を合わせて作業するような活動を多数実施している同自治会。作業を通して自然と各種情報共有が図られ、地域住民が地域を知ることができる場としても機能しています。
同自治会エリアにあり、昭和51年に県の天然記念物に指定された「薄衣の笠松」周辺の下草刈りも「共同事業」で行われる作業の一つ。樹齢はおよそ600年と推定され、仙台藩主伊達政宗との逸話もあるとされるこのアカマツは、地域住民による保存団体(昭和42年結成)が手入れ等を行ってきましたが、平成15年頃からは自治会内に「笠松保存部」を設け、自治会活動の一環に。年3回の下草刈りも多くの住民が参加し、文化財(天然記念物)を通した世代間交流が生まれています。
コロナ禍で事業の実施に躊躇する自治会が多い中、同自治会では地域の環境美化等に係る事業を実施し続け、多くの住民が従来通り協力的に取り組んでいます。「作業」を「交流」の場と捉え、各住民が参加意義を見出していることの現れかもしれません。
うじいえ まさとし
氏家政敏さん
2期4年目。60歳頃に帰郷。総務部長を3年勤めてから現在の役職へ。地域のことを常に考え、地元住民にどう関わってもらえるか、試行錯誤しています。
A.心なごむ 人と自然
すがわら しんいち
菅原 新市さん
参謀役として長年自治会運営に関わっており、自治会事業の見える化などを提案。地域住民の自治会参画意欲を高めることに尽力しています。
A.共同作業(地域の環境美化)による人が集う場所 地域づくり
3本あった古木のうち衰弱した1本は平成26年に惜しまれつつも伐採。写真は伐採前に行ったお別れ会の様子。
公民館はサンセット・トウブ・ヒルズ(夕日に映える癒しの館)として地域住民の憩いの場として活用されています。
4か所の資源回収場所を業者と役員が回り、集められた資源(廃品)をトラックに積んでいきます(令和3年8月の様子)。
3世代交流の場としても機能するガードレール・カーブミラー清掃。終了後のねぎらいも大切!(令和3年10月の様子)