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令和5年度「収穫祭」でのひとこま
(idea 2023年12月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
薄衣地区に位置し、小字は一関市立川崎中学校等も立地する上段、大池、堀田、鴨地(一部)、陳が森、唐蓬、北新山(一部)で、35世帯、約95人が暮らす。総務部、産業部、教育文化部、体育厚生部、女性部、社会部で構成。
川崎地域内でも傾斜地に位置している陳が森自治会。道も狭く、重機が入りにくいため、開拓するにも難儀な土地でした。それでも元和年間(1615~24)に立てられたお墓があったり、15代程続く家もあるなど、古くからこの土地に暮らしがあり、その背景にあるのは水害です。水害で移転してきた家も少なくなく、北上川で水害が発生した際には、陳が森地内の市道が迂回路となっており、水害対策として開拓・移転が行われてきた集落だったようです。
「道が狭く傾斜地なため、なにかと生活するには苦労があるが、人口や世帯数は他集落と比較しても大きな変化はなく、むしろ一関市立川崎小学校に通学しやすいために、帰郷して子育てをする若い世代もいます」と、自治会長の伊藤峰雄さんが語るように、人口約95人のうち、20歳以下の人口は約15人、小学生も5人おり、割合は少なくありません。
なお、全国的に「陣が森」という地名は少なくないですが、当地は「陣」ではなく「陳」。由来は不明ですが、80代の住人に聞くと「じのもり」と呼ばれていた時期もあったとか……。「豊臣秀吉側の武士が逃げ延びてきた」という伝えもあるとのことで、由来も含め、歴史ロマンを感じさせます。
そんな陳が森に自治会が発足した時期は定かではありませんが、約50年程前から、総会資料には「自治会推進目標」が掲げられています。そこには「自治会員一同は、地域住民の福祉向上と自治意識の向上を図るとともに、環境の整備や地域の特殊性を生かした、住民一人一人の意思を大切にし、自らの新しい集落を創造し、実情に即した自治会づくりを目標とする」とあり、この目標に即した9つの事業にぶら下がる形で、各部会が具体的な事業を行います。例えば「特に健康に重視し、健康に対する調査研修を行う」という事業を推進する社会部では、年数回「生き生きサロン」として、自治会の集会所(陳が森公民館)で「健康教室」など、サロン活動を開催。約15名が参加しており、サロンの参加者からは「昔から隣近所の付き合いはよく、昔からの顔なじみや幼馴染など、常日頃から相談できる人がいる環境はとても住みやすい」「自治会に合った事業を展開してくれるのでありがたい」と、サロン開催への感謝の声が聞かれます。
体育厚生部は「市及び各関係機関団体等の主催する事業、及びリーダー研修会には積極的に参加する」という事業を推進すべく、川崎地域全体で開催される各種事業にも積極的に参加しています。川崎体育協会主催の「川崎町バレーボール選手権大会」には毎年参加しており、令和4年度は優勝!毎年9月に開催され市内外から50以上のチームが集まる「北上川流域交流Eボート大会」でも何度も成績上位に名を残し、世帯数が倍以上ある自治会を抑えて活躍しています。
こうした事業の人選は、部会代表(6人)と班長(4人)で、名簿を見ながら選出しており、選出された人は「仕事がない限り、基本的にはみんな参加してくれる」のだとか。「少数精鋭で、自分たちができる範囲で無理なく続けることが大切」と、伊藤さんはその活躍の理由を語ります。
同自治会が最も大事にしているのが社会部・女性部・教育文化部が協力して行う「三世代間交流」。子どもたちと一緒に果報だんごを作る「果報だんごの会」は、同年代・世代間の交流の場を創出しています。
また、社会部・教育文化部が中心となり、各種野菜の栽培も行っていますが、「子ども農園」として子どもたちもサツマイモを栽培しています。10月の収穫の際には祖父母も手伝うなど、自然な交流が。同時期には社会部が栽培した里芋を使った芋の子汁をいただく「収穫祭」も開催し、交流を楽しみます。その他、「しめ縄づくり」「門松づくり」など、世代間交流だけでなく、地域文化の継承にもつながる事業が盛りだくさんです。
伊藤さんは、「仕事や子育ての事情が変わり、自治会活動など難しくなってきているが、何かを寄り集まって行うことの楽しさも伝えていきたい。集まる理由は何でも良い。資源回収や草刈りなどを通しても集まれる。集まりながら交流できればいい」と、これからのコミュニティ活動のあり方を見据えています。
いとう みねお
伊藤 峰雄さん
30代中頃から会計を担い、自治会長は3期6年目。生まれも育ちも陳が森で、元気な先輩たちに負けないよう、世代間交流の場づくりなど常に工夫を凝らしています。
A.継続は力なり
いとう しゅういち
伊藤 秀一さん
3期6年目。伊藤さん同様、生まれも育ちも陳が森。国道284号線沿いに、たい焼きや大判焼きなどの軽食を提供する「きまぐれキッチン」を経営しています。
A.平穏な毎日
サロンでは、市体育協会や工房てんとう虫等と連携して行う事業も。女性部と社会部(≒老人クラブ)が共同で運営中。
毎年11月末に開催。社会部・女性部が協力し、子どもたちと一緒に作った果報だんごは、神棚に供えてからいただきます。
収穫祭で提供する芋の子汁は「おばあちゃんたちの味」として喜ばれています。子どもたちが遊びに来たことも。
同自治会地内の最大高低差(北新山と上段)は100m以上。不便さはありますが、立地自体は悪くありません。