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「ゆみおり館」前で農作業安全指導(令和6年)
(idea 2025年2月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
東山町長坂地区の南東、東山町松川地区の東に位置する自治会。49世帯、113人が暮らす。6班体制で、総務、産業、厚生、社会、女性、文化の6部体制で運営。行政区は長坂10区。
弓折山の麓に存在し、大木沢、大面、大持、木戸割、上沢田(一部)、木和田堀(一部)の6つの小字で構成される大木自治会。同自治会の拠点である「東山大木多目的集会施設(通称『ゆみおり館』)」が位置する場所は、昭和43年まで開校していた「東山町立長坂小学校大木分校」でした。かつては地元の子どもたちが通い、多いときは自治会内で6つのチームを編成して運動会ができるほど、子どもたちの声が響き渡る地域でした。
大木分校は、当時の分校には珍しく体育館が隣接していましたが、大木分校が長坂小学校に統合される際、分校の校舎を壊し現在のゆみおり館に建て直す流れに。「同じタイミングで体育館も取り壊す話も出たのですが、集落内に住む人たちがお金を出し合って建てた施設で、みんなの財産だったので、残していくことにしました」と、自治会長の鈴木欽勝さんと副自治会長の鈴木時男さんは語ります。
同自治会では、毎月第1土曜日に役員会を行っていますが、集落内の各団体の役も兼務する自治会役員が多いため、自治会事業の報告に限らず集落内の情報共有も同時に行われます。欽勝さんは、「役が多くて大変という思いよりも、各団体との予定のすり合わせがスムーズで良いと感じています。昔から結束力がある集落なので、何をするにも進めやすいです」と語ります。
コロナ禍のため、自治会行事を新しく展開させることが難しい時期が続きましたが、「花いっぱい運動」「自治会内の市道、棚田の草刈り」などは継続し、景観の維持と安全の向上に努めてきました。そんな中に再開した「大木夏祭り」は、ゆみおり館の駐車場と体育館を会場に開催し、帰省してきた人たちも多く参加。「みんなが小さい頃からある建物なので、変わらない様子に『懐かしい』と話してくれる人が多いです。来年は、さらに自治会行事を活発にしていきたいです」と意気込みます。
同自治会があるエリアでは「行山流大木鹿踊り」という伝統芸能を継承しており、体育館はその練習所としても活用しています。町内で唯一の鹿踊りとなっており、現在は14人で活動中です。
約300年前、明正天皇時代から歴史がある「行山流鹿踊り」は、文化7年に大原村(現在の大東町大原)の山口から集落に伝えられました。市内各地でも披露しつつ、過去には北海道や東京都などのイベントで披露したことも。
「これからの課題は、後継者不足で……」と語るのは、同自治会総務部長でもあり、大木鹿踊り保存会の会計を務める、鈴木正男さん。「会員の中には10代の学生が4人いますが、もし町外に就職するとなると、せっかくマスターしたとしても、引き継いでいくのは難しいと思います」と話す一方で、同集落出身で現在は山形県に居住するメンバー(30代)は、休日の合間を縫って練習やイベントに参加してくれているそうです。「彼は小学校のときからずっとやっているんです。これからもぜひ一緒にやっていきたいですね」と笑顔を見せます。
自治会長の欽勝さんは、大木子供会の会長を務めていたとき(平成18年頃)、ゆみおり館に子どもたちがお泊りするイベントを企画。その際、なかなか自治会や子供会行事等に参加できない保護者にも参加してもらおうと、ビアガーデンを同時開催しました。「子どもだけでなく大人も楽しめる、お互いに楽しい思い出にしたい」という思いがあっての企画でしたが、自治会長になって「自身が子どもの頃に経験していたことを今の子どもたちにも経験させてあげたい」という気持ちを持っているものの、少子化が進み、同集落内のみで親子レク等を企画できず、近隣の地域と連携して取り組んでいる状況です。
「どこも同じ悩みがあるとは思いますが、20年前とは違って今は50戸をきり、人口減少を感じているところです。あと20年後はきっと半分に減っていくだろうと思っています」と現実を見据えつつ、「今、一番活気があるのはグランドゴルフでしょうか(笑)たしかに人口減少は課題ですが、少ないながらも楽しくやっていければいい」と笑い合うみなさん。
山々と田んぼに囲まれ、6月にはホタルも飛ぶ、自然豊かな同集落。先人たちが築き上げてきた「集落の宝」をこれからも守り続けます。
すずき よしかつ
鈴木 欽勝さん
1期2年目。生まれてからずっと大木に住んでおり、「小さい頃は砂鉄川で素潜りしたり魚をとって遊んだ。それが楽しかった」と言います。
A.住み心地が良い集落 ※星が綺麗
すずき ときお
鈴木 時男さん
1期2年目。前期の会長が副会長を務める体制で、「周りの協力のおかげで自治会長をやり遂げられた」とのこと。東山町田河津地域出身で、趣味は滝巡り。
A.協力的な自治会です
建てられた当初、大木分校は茅葺屋根で、そのあと瓦屋根に移行し、「ゆみおり館」へと建て替えられました。
「行山流大木鹿踊り」のほか、「大木神楽」の継承活動でも、一番身近な練習施設として活用しています。
多面的機能支払制度を利用し、6月中旬に花苗の植え付けを実施しました。老人クラブと作業場所を分担しています。
毎年6月~7月頃は、同自治会があるエリアの棚田の草刈りに汗を流しています。約40人が2か所に分かれて実施。