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(idea 平成25年6月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
自治会長:高橋 堅治さん(平成18年から8年目)
37戸、140人が暮らす東山町田河津地域の横沢部落自治会は、先人からのあたたかい想いを胸に豊かな自然と共に地域づくりを行っています。
東山町幽玄洞から水沢方面に向かう中山間地域で、豊かな自然に包まれて暮らす横沢部落自治会。高齢化率が高いものの、人口に対し子どもの数が多いのが自慢の一つで、今年は小学校への入学者が0人でしたが、平成26年~34年は入学者がいると笑顔で話す高橋さん。昭和30年代食糧難の中、農作業の忙しい時期のみ開所した季節保育所「へき地保育所」が作られたのが発端となり、子ども育成のため、子どもを大事にしようという考えから、「地域の子どもはどの子も我が子」という想いで、全戸加入で「父母の会」を発足。子どもがいない家庭でも入会でき、繭玉ならし等の交流を含む活動を行っています。
「今年は花咲じいさんが遅れているネ…」と始まる自治会だより「やまびこ」4月号は、住民に情報を伝えるため、高橋さんが約16年間手書きで発行しているものです。まず手に取りたくなり、読んでいると穏やかな気持ちになります。当初パソコンで作成したところ、「パソコンの文字は読む気がしない、下手でも間違ってもいいから手で書いて!字を大きくして!」という地域住民からの声があり、筆ペンで書き始めたとの事。住民から「これを記事に載せて」とよく言われるそうで、草刈等の行事について区長より班長を通じ電話する事になっていましたが、お年寄りが多く「いつだったか、どこでだったか」となかなか伝わらなかったのが、「やまびこ」を通して黙っていても行事に人が集まるようになったと嬉しそうに語ってくれました。「やまびこ」の名は先輩から引継いだもので、地域のみんなが心待ちにしている様子が伺えます。
平成22年4月、戦火を逃れた藤原秀衡縁の鐘が約70年の時を経て宮城県松島から横沢の地に無事に安置されました。安置場所は住民皆で話し合い、費用も積立金や住民から寄付を募り完成に至ったといいます。東日本大震災の後、祈りをこめ鐘を鳴らし続けたり、昨年年度末から一か月間、梵鐘と月山神社奥の鳥居と金堀山に祭っている観音様のライトアップを実施。今後も何か地域おこしに繋げたいと模索中ですが、まずは返還の際、代わりの鐘の寄進を行った事で松島の人と交流が出来たので、今年は被災地の研修を兼ね松島への訪問を計画中と語る高橋さん。
梵鐘安置場所の下にある広場には障子付のバス待合所や六角形の東屋等があり、全て住民で話し合い一人一人が持ち寄って手作りした物で、掃除や管理も行っています。
「やるなら楽しく。一人の意見でも否定せず、まずやってみる。やってだめな時は次の事を考える。そして、子ども達に部落の良さや悪さを伝えていき、この地域に残ってもらいたい。」と穏やかに力強く話す高橋さんからは、先人から引継いだ歴史や想いを大切に伝承し、さらに改革の推進を図ろうとする意志が伝わってきました。