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(idea 平成27年7月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆自治会長:千葉勝 さん
◆67世帯が暮らす三室自治会。地域の魅力を発信する記録集「三室の輝き」の作成・発行や、講演
会の開催をはじめとした地域おこし事業をはじめ、自治会の「結い」の精神が高まっている地域で
す。
東山町の松川地域にある三室自治会では、住民有志の実行委員会を組織して平成23年度から平成25年度にかけて、3か年にわたる地域おこし事業「ふるさと発見、ふるさとを伝える三室地域づくり」を地域一丸となって実施。67世帯が暮らす自治会活動を成功させたヒントについて、新旧の自治会長のお2人にお話を伺いました。
自治会の地域づくりについて、「楽しんでやることですね」と語るのは旧自治会長の細川さん。「使命感、義務感だと、飽きがきたり、嫌だ、となります。負担になったら続きません」という言葉からは、地域づくりのヒントが見えてきそうです。
およそ半世紀以上前に建設され、平成14年に増設を行った三室公民館には、焼酎、ビール、お茶などが常備してあるそうです。「何かの相談だから、という固い言葉では人が来なくなります。会議の3回のうち2回は飲み会です(笑)」という言葉を聴いて実際に行ってみると、広さ4~50畳はある建物の中に、「足が痛くならない和室用のイス」をはじめ、「持ってくるなと言っても持ってくるんです」という飲みニケーションに欠かせない飲み物がおいてありました。
「雰囲気がよくなって、だんだん人が集まってきます。自治会の中でつくった特別委員会ですが、10数人から始まって、今は22人となっています」と細川さんは語ります。
地域おこし事業の実行委員長であり、新自治会長の千葉さんは、「奈良坂峠に石を彫って積んだ時に、業者から50 万円と言われたんだけど、半額の金額にしてもらったり、記録集の発行をするときに、本来はもっとお金がかかるところを1冊2000円にしてもらったんだよ」と交渉術がキラリと光ります。取材当日、時間に遅れそうなスタッフに「ドローンで来れば早いよ」とアドバイスするなど、ユーモアたっぷり。
「この事業のメンバーは経歴が違う人だったんです。会社の社長だったり、市役所職員だったり、先生だったり。それぞれ違う職業の出身の人たちでよかったですね。地域おこしは、そういうところをうまくカバーすればいいんじゃないでしょうか」と語る細川さんは、2000枚以上にわたる写真を自費で購入したカメラで撮影し、美しい写真が豊富な「三室の輝き」の出版を影で大きく支えてきました。
千葉さんのコミュニケーション術と細川さんの豊かな感性が大きな力になった三室の地域おこし。「三室の輝きは国立図書館にも寄贈したい」と、笑顔で語ってくれました。
3年間の地域づくりの集大成ともいえる「三室の輝き」は、「三室のすがた」「三室の歴史と文化」「三室の地域おこし」「三室の地域活動」「懐かしの写真」「あとがき」の各章で構成されています。この蔵書はいちのせき市民活動センターをはじめ、市内の図書館にて閲覧することができます。楽しみながら行ったという地域おこしのヒントを、冊子の中に探してみてはいかがでしょうか。