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サロンはらいだAKB
代表 千葉政吉(まさよし)さん
(idea 平成28年12月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
下流には刈生沢の滝があり、金沢と日形の境となる払田集落は、17戸約60名の小さな集落です。今回は集落公民館長を13年、行政区長を12年務め、引退後は集落内にサロン活動を立ち上げた千葉政吉さんにお話を伺ってきました。
平成23年9月に、払田集落に新たなグループが発足しました。その名も「サロンはらいだAKB」。AKBは「明るく 健康 美男美女」の略で、サロンを立ち上げた千葉政吉さんが命名しました。
25歳の時から長年集落運営に携わってきた千葉さんは、いざ地域活動を引退した時に地域の中に引退後の活動や交流の場がないことに気づき、自らサロンを立ち上げました。15名の会員は男女半々。「男性参加者が多いから行動力があるんだよ」という千葉さんの言葉通り、活動はパークゴルフ体験や他地域のサロンとの交流活動など、積極的に地域外に出向き、交流や体験の機会を設けています。
一昨年から始め、年に1回は必ず行う他地域との交流活動では、町内での交流の他、大東町猿沢のサロンとも交流を行いました。お互いの地域を行き来し、当該地域の歴史・観光名所の見学や、演芸等を披露し合う他、千葉さんが大切にしているのが‘自己紹介’。「人前に出て話をすることは誰でも勇気がいるし、その中で何を話そうかと考えることは脳トレになり、ボケ防止にもなる」と千葉さん。「この自己紹介が思ったよりみんな上手なんだ!」と笑います。他地域との交流会は毎回好評で、サロン活動そのものへの新規参加者も毎年いるのだとか。今や集落公認のサロン活動として集落になくてはならない存在となっているようです。
払田集落には昭和28年から継続している「子どもの日を祝う会」という行事があります。毎年5月5日に行うお祝いの会で、全戸が参加し、各家から持ち寄った食べ物を囲みながら子どもたちの健康をお祝いします。始めた当時は公民館などの拠点もなく、地域活動もほとんどない状況。そこで地域の有志が声を掛け、自発的に始まったというイベントが、今もなお続いているというのは驚きです。一時期、集落に子どもがいない時期があり、その時から「子どもの日・母の日を祝う会」とし、子どもたちにはお菓子の詰め合わせを、お母さんたちには花を贈るようになったそうで、現在もその形で継続しています。
また、千葉さんが作成している「集落内の‘〇〇名人’‘ここが一番!’」という記録集を見せていただきました。集落に長年関わってきた中で見つけた集落民の特技等を書き留めたそのノートを見ながら「いつか本にまとめたいんだ」と千葉さん。住民1人1人を大切にし、みんなでお祝いをしたり、尊敬の意を示してきたであろう払田集落の地域性が現れているようです。
昭和57年の閉校まで、刈生沢小学校へと通っていた払田集落の子どもたち。閉校後は日形小学校ではなく通学距離の短い金沢小学校へと通いました。そのため、農業関係は日形に属するも、学校を巻き込むことが多い市民センター行事は金沢に帰属。払田住民にとってはそれが当たり前で、苦にはなっていなかったと言います。しかし、各市民センター単位で地域協働体を組織する動きになり、このままで良いものか集落で話し合いを重ねました。結果として日形の協働体に属することを選んだ払田集落ですが、いざ行事となると躊躇してしまい、まだ集落として日形の行事には参加できずにいると言います。とは言え、協働体の設立にあたっては「積極的に関わった」と千葉さん。「後から参加すれば、それこそ本当に‘お客様’になってしまうからね」地域のこれからを見据えての払田地域の決断を日形地域も金沢地域も暖かく見守っています。
9月に行われた猿沢のサロンとの交流会の様子