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令和5年度「油島地区民大運動会」に「油島第9区集落公民館」として参加。中学生も活躍。
(idea 2024年5月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
夏川を挟んで宮城県登米市と面する中山間集落で、行政区は油島5-1区。花欠・飛ヶ沢・上原田・中原田・下原田・愛宕前・日向平の7小字のエリア(中原田・愛宕前は住居無し)で、35戸約100人が暮らす(6班体制)。旧蝦島村のエリアで、飛ヶ沢には道祖神社、蝦島館(西館)、日向平には鹿島神社がある。
40戸にも満たない小さな集落で、45年にも渡り集落の活気づくりに貢献し続ける団体があります。その名も「たてる会」。
昭和54年4月、青年会のような位置づけで発足し、次第に長男会や家督会のような役割に発展、メンバーの世代交代も経ながら、現在は集落内の40代~70代という幅広い年代の14人で活動しています。
油島第9区集落には集落公民館としての活動や、5‐1行政区としての活動、その他中山間組織等による活動など、様々な活動がありますが、集落内の交流・振興を担うのが「たてる会」です。
有志の集まりであり、月々の会費のほか、様々な作業で資金を「稼ぐ」ことで活動してきました。松くい虫防除作業を受託し、貯めたお金でグアム旅行に行ったこともあるというので驚きです。
「まずは集落を盛り上げること。集落の活動に出てこなければ、地域協働体や地域全体の活動にも出て行かない。集落活動が盛り上がるように、今となってはバカみたいな企画もやってきた」と、発足当初からの「たてる会」メンバー武田正吉さんは笑います。
結婚祝賀会や社交ダンス講習会、海水浴などの会員同士の交流の機会はもちろん、部落盆踊り大会、演芸大会、年祝い・成人祝い等、集落全体に向けての事業も多数行ってきた「たてる会」。集落内の神社に手作りの御神体や鳥居を奉納したこともあります。
令和5年度には一関市の地域おこし事業に申請し、7月に「納涼夏祭り大会」、11月に「光と遊ぶイルミネーションフェスタ」と、2事業を企画運営。集落内の老若男女が集い、交流を楽しみました。
イルミネーションは県道沿いに同会が植樹を続けてきたサクラに設置。その距離約200mに渡りますが、よりボリューム感を増していくために、集落民に空き缶回収を呼びかけ、イルミネーション購入資金を調達する計画です(空き缶回収BOXは令和6年3月末に設置し、回収開始)。
23歳頃から同会に参加している武田健さんは、「自分が小学生の頃、すでに活動していた『たてる会』が、小学生ながらに楽しそうに見えた。この会でつながっているからこそ、20歳近く離れた先輩たちとも気さくに会話できる」と、集落における同会の存在を語ります。
同集落には県道183号(若柳花泉線)が走っており、かつては業者による草刈り作業が行われていたものの、作業されずに草が生い茂った年がありました。
不思議に思った区長の川島登さんが県に問い合わせると、業者不足等の理由でできなくなっていたことが判明。集落で取り組むことを提案されたため、集落内で伺いを立てたところ、反対意見はなく、「まずはやってみよう」ということに。平成30年、受託を開始し、その後、年2回の作業をこなしてきました。
作業には男女問わず毎回30人以上が参加。旗や看板を持つ役など、女性にも可能な役割があるため、「みんなの力で稼いでいると実感できる」と川島さん。草刈り機等の燃料代も各自が負担し、受託費は全て5‐1区として積み立てていますが、参加者からの異議はなく、「みんなの楽しみ」としての活用のほか、集落公民館の修繕費用などにも寄付する予定なのだとか。
参加者への飲み物代などは「当該県道沿いに立地する企業(㈱ヨシムラ)からのご祝儀を活用させていただいています」と嬉しそうに話す川島さん。
以前は、集落内に立地しながらも、集落と同社との接点はなく、騒音や大型トラックの頻繁な通行に対し、住民から不満の声が出た時期もあったのだとか。そこで区長の川島さんが同社への会社見学の機会を調整。集落住民が同社の事業に理解を深めたことで、不満の声も少なくなりました。
それどころか、草刈り作業時のご祝儀のほか、総会時に同社系列店のお弁当を差し入れてくれるなど、「お互い様」の関係に発展したのです。
集落を盛り上げる「たてる会」、対外的な事業を担う行政区、市民センターや地域協働体などの事業への住民参加を呼び掛ける集落公民館、縦割りのようにも見えますが、「たてる会」が人材の把握・育成を担ってきたことで、多くの家督たちが偏りなく各種役職を経験しており、横のつながりの中で縦の事業が動いています。
県道沿いを彩るサクラは、その関係性の象徴とも言えるでしょう。
かわしま のぼる
川島 登さん
4期8年目。民謡・歌謡曲で数々の受賞歴があり、近年は趣味の能面・神楽面制作に没頭中。もちろん「たてる会」OBです。
A.活力のある楽しい集落
たけだ けん
武田 健さん
50代前半にして「たてる会」歴30年以上の武田さん。先輩たちからも「頼めばすぐに動いてくれる」と、同会の何でも屋的存在です。
A.笑顔が満ちあふれている九区集落‼
かつては1泊で総会をしていた同会。近年は日帰りで、令和6年度総会は「金成延年閣」にて開催しました(欠席1名)。
納涼夏祭り大会にはプロマジシャンが登場!老若男女が間近で見るマジックショーに大興奮。屋台や花火も楽しみました。
「たてる会」によるイルミネーション撤去作業の様子。サクラの開花時はライトアップに切り替えるため、その準備も……。
県道以外にも、河川・道路愛護、中山間、多面的…と、草刈りシーズンは毎週末が草刈り。それでもみんな協力的です。