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「白浜公民館まつり」にて「白浜の良いところ悪いところ」を発表する小学生
(idea 平成31年1月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆集落公民館長:佐藤正則さん(前集落で1期、新集落で1期、計3年目)
◆花泉町涌津地域で行政区としては涌津3区にあたる白浜集落公民館は、統合で誕生したばかりの戸数63戸の小さな農村集落です。
平成30年2月、涌津地域から集落が1つ減りました。といってもいわゆる限界集落での‘消滅’ではなく、今後を見据えての‘統合’であり、‘前向きな減少’でした。今回は10年前から統合の話が出ながら、ようやく実行に至ったという白浜第1集落公民館(以下:第1集落)および白浜第2集落公民館(以下:第2集落)改め「白浜集落公民館」の公民館長である佐藤正則さんに、統合の経緯や集落の活動について伺いました。
※花泉町の「集落公民館」:建物の名称を指す場合(①)と、そこを拠点に活動する自治会的な組織そのもの(②)、その両者を指す場合があります。
旧白浜第1集落および第2集落は、名前は第1・第2となっていても、そもそも完全に別の集落であり、第1集落には役員がいるのに対し、第2集落では役員を置かず総会もないなどそれぞれの営みがあったといいます。その一方、合同で使用していた集落公民館(上記①)の運営に関しては、双方から運営委員として班長が参加、会費も各戸から徴収して別途組織されているなど(委員長は区長)、一般的な‘自治会’や‘集落公民館’とは異なる独自の慣習があったようです。
そんな両集落には10年ほど前から空き家など少子高齢化に伴う課題が目立ち始め、かつては1班7~8軒だったものが、3軒しかない班も出てくるなど、コミュニティ活動を見直さなければならない状況に。しかし、統合した方が良いという声に対し、長らく各々で活動してきた年配者からの反対の声が相次ぎ、ようやく統合に向けた準備委員会が動き出したのは平成29年でした。6回ほどの会議の中では新たな規約や事業、会費について検討。統合後の大きな変更として、各戸から会費を徴収し、その中から会長や役員にも役職手当を出すことに。第1・第2集落共にこれまでなかった会費負担が発生することになりましたが、ほぼ全戸から参加者があった住民説明会でも反対の声はなく、10年越しの新「白浜集落公民館(上記②)」が無事に動き出したのでした。
統合後も、従来の公民館事業はほぼ変わることなく継続しているとのことで、10年以上続いているという「男の料理教室」には今年も20人ほどの参加者がいたそうです。また、空き缶回収にも力を入れており、今年は公民館近くに専用の鍵付き回収BOXを設置。仕分け作業や業者への運搬等は「その時やれる人がやる」というスタンスで、特に担当者をつけずとも協力し合って行っているのだそうです。
11月には統合後初めてとなる「白浜公民館まつり」が開催され、作品展示等のほか、今年は出前講座の一環で地区内の小学生が「白浜の良いところ悪いところ」を発表するなど、統合を機に集落を見つめなおす機会を増やしている同集落。これまで苦戦していた地区民運動会等への参加者集めも「かなり楽になった」と佐藤さんは笑顔を見せますが、一方で集落公民館そのものの運営委員制や各種組合、公民館事業とはまた別の集落としての行事・慣例など、集落内の役や組織、活動にはまだ負担や課題も多く「何年先になるかはわからないが、いずれは自治会化することを目指している。統合はそのための第1歩」と、今後のさらなる改革も見据えます。
集落統合の先進事例として、今後の展開にも注目したい集落です。
老若男女が集まる白浜公民館まつり