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(idea 平成26年2月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
館長 :猪股 徳征 さん(平成25年度~)
花泉町油島の上油田第3区公民館は、24世帯66人が暮らす農村部の集落です。銘木笠松の保全活動などの共同作業を通して楽しい地域づくりに取り組んでいます。
上油田第3区のある花泉町油島地区は岩手県の最南部に位置し、宮城県登米市及び栗原市に隣接しています。上油田第3区は、県道若柳花泉線の西側で上油田川を挟んで水田が広がる緑豊かな農村地帯です。
「ここは上油田行政区に入り、第1区、第2区、第3区と分かれています。それぞれが集会所の役目をする公民館を持ち、自治会的な活動をしています」と区長さんは説明してくれました。
集落内の中心、農道交差点脇に、樹齢約300年のアカマツが植えられている公園があります。高さは10m、幹回りは2.1m、枝は南北9m、東西7mに広がる銘木で、四方に大きく枝を広げた姿から「笠松」と呼ばれ親しまれています。
昭和40年代前半、圃場整備事業が行われた際、田んぼの中にあった松の古木を伐採する予定でしたが、住民の総意は「残して大切に世話しよう」と現在地に移したのが始まり。その後、上油田笠松会を組織しこれまで熱心に保全活動に取り組んできました。会の主な活動は、毎月の草刈り、8月に害虫駆除の薬剤散布、お盆前は松の木に元気をつけるための松かさ取り、11月はこも巻き、12月は雪つりと一年を通して活動を行っています。
これまでの努力が認められ、平成20年度にいちのせき百景に取り上げられ、平成25年度には一関市景観まちづくり賞をいただきました。「大変栄誉なことです。今では集落内のシンボルとしてなくてはならないものとなっています。これからも大事にお世話していきたいと思います」と区長さんはうれしそうに語ります。
盆踊りは、盆の時期に死者を供養するために行われる踊りで、集落内でも毎年行ってきました。
「内容がマンネリなのか、なかなか人も集まらなくなってきました。もっと人が集まることをしようと考えたのが灯篭飾り流しです」と区長さん。しかし、集落内を流れる川は水量も少ないため、川に流すのではなく吊って飾ることにしました。
場所は笠松の公園。毎年8月14日に集落内の人や帰省客ばかりでなく、近隣集落の方も招待し、賑やかに灯篭飾り流しが行われます。灯篭の下でご先祖の供養を行った後、子供も大人も一緒に盆踊りを楽しみます。
5年前、集落内の集まりで「最近は地域の人たちが集まって共同作業をする機会がなくなった。休耕田を利用して地域の特産物を作ってみよう」と話がまとまりました。そこで目を付けたのが『マコモ』。
マコモはイネ科の水生植物で、肥大した茎『マコモタケ』は低カロリーで食材としてどんな料理にも相性が良く、葉をお茶にして飲めば解毒作用や免疫力の強化など優れた効能が期待できると言われています。
先進地を視察して勉強するとともに「集落ビジョン活動助成」、「中山間地域等直接支払制度」などの補助金を活用して本格的に栽培に取り組みました。「共同作業を通して親睦も深まり地域も元気になりました。楽しい集落として次の世代へ引き継げるようにしたいものです」と館長さんは語ります。