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(idea 平成27年9月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆自治会長:佐藤均(ひとし)さん(2期3年目)
◆花泉町金沢地区の北部に位置し、24世帯87人が暮らす菅の平。自治会組織を立ち上げて10年目を
迎え、自主防災訓練も充実したものとなっています。
花泉町金沢地区の北部に広がる丘陵地。道路一つを隔てて一関市滝沢地区と接する菅の平集落は、24世帯87人が住む農村地帯です。集落のほぼ中央に建てられた菅の平公民館で、自治会長の佐藤均さんと事務局の菅原静悦さんからお話を伺いました。
「この辺りはもともと丘陵地で耕地も少なかったのですが、昭和40年代に行われたパイロット(※須川地区国営総合開拓パイロット事業)により水利も良くなり、耕地面積も広がりました。稲作の他に果樹園芸や畜産もやっています」と佐藤さんは語ります。
菅の平地区自治会は、花泉地域では数少ない自治会組織の一つで平成18年4月に発足し、今年で10年目の活動に入りました。「当時、市の方から自治会設立の勧めについての話がありました。集落内で何回も話し合い、集落公民館などの集落組織を見直し自治会へと組織替えしようと話がまとまりました。自治会になり組織がすっきりし活動や集金がしやすくなりました」と菅原さんは語ります。
自治会は1世帯年3,000円の会費やその他の収入により運営され、運営委員会、青年部、女性部、事務局の部会を置いて事業を展開しています。会議は、3月の総会の他、運営委員会と三役会議を会長が、部会議を部会長が必要に応じて開催します。
自治会では災害時には住民の協力が必要と考え、毎年公民館を会場に自主防災訓練を行っています。内容は、消防署の指導の下での消火訓練、AED操作、災害時ビデオの視聴、炊き出し訓練などです。特に、炊き出し訓練は、4年前の東日本大震災時に水道が使えなかったこともあり、実際に井戸から水を運んで作業するという本格的なものです。「煮炊きはプロパンガス、廃材、薪などを使いますが、水の確保がいかに大切かを実感します。訓練のための訓練ではなく、実際の場面を想定してほとんどの世帯が参加するのでいざという時に役立つ訓練をしていると思っています」と語る佐藤さん。今年は、消火訓練にバケツリレーを取り入れてより実戦に近づける計画だそうです。
また、見聞を広めることを目的に研修旅行を毎年実施しています。子どもからお年寄りまでの希望者が参加する日帰り旅行ですが、ここ2~3年は震災復興の姿を確かめるコースを取り入れて、日ごろの備えを確かなものにしようと工夫しています。
古くからの強いつながりで結ばれている菅の平。活動の中心となっているのは成友会と呼ばれる青年会のメンバー達。成友会は毎年10月に公民館で行う秋祭りを盛り上げます。また、2カ所あるゴミ収集所にも成友会は工夫を凝らしています。「ほっとするゴミステーション」と命名し、健康づくりの秘訣やステーションと集落内の主な場所までの距離と歩数を記載した看板を設置し、住民が楽しめるようにしています。
「年々人が減り高齢者が多くなります。草刈りなどの共同作業も困難になるでしょうが、集落の事は集落でやるという結束力がここにはあります」と佐藤さん。若い世代を中心に楽しみを生かした活動を引き継ぎ、これからも共助の精神で地域を守っていくことでしょう。