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令和5年度「どんと祭」の様子
(idea 2024年7月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
行政区は藤沢「23区」。東深萱、西深萱、京ノ沢(一部)の44世帯143人(6班体制)が暮らす。自治会化したのは昭和50年頃で、令和6年度より農事部、社会部、文教部、福祉保健部、防災部の5部会で活動中。
考古学者の塩野半十郎氏の指導で「縄文野焼き」を再現した事から始まった「縄文の炎 藤沢野焼祭」。藤沢町黄海地区の深萱自治会のエリアには、塩野氏が藤沢町に寄贈した700本の椿を移植した「塩野半十郎椿園」が立地し、隣接する「陶芸センター」は同自治会が指定管理を受託しています。
同じく集落内にある堂良幹諸社(どうらみきしょしゃ)は、古くから住民の心のよりどころとして大切にされています。
この諸社は、集落の低い土地に位置していることが特徴。一般的に、社(≒神様)は人々の居住地より高い土地に置かれることが多いのに対し、同集落では「人々が集まりやすいように低い場所に作った」と言われており、全国的に見ても珍しいのだとか。
屋根のかかった広い空間があり、自治会発足以前からその場を集落民の交流の場として活用、屋根の修繕も住民に寄付を募って行ってきました。
自治会長1年目の熊谷明さんは、「古くから、住民の集まりの場があり、協力的な地域。堂良幹諸社の例祭については、自治会の臨時総会(毎年8月に開催)の議題にかけ、『集落民の大事な行事である』ということを共通認識にしています」と、同社と集落の関係を語ります。
現在、同自治会が自治会館として使用している「ひまわり館」は、明治27年に開校した旧黄海小学校深萱分校。昭和48年3月に閉校し、その校舎を同年から譲り受けました。黒板や職員室の表示など、当時の面影が残っており、当時の思い出とともに、大切に使用していることが伺えます。
目を引くのが、黒板脇に飾られた賞状。昭和52年に地方自治法施行30周年を記念して岩手県知事から贈られたもので、長年の自治活動の功績を称えるものです。同集落では、組織の形は変えつつも、昭和初期以前から自治組織での活動を行っていたと言い、「同自治会の歴史を物語るもの」として掲示されています。
副会長の阿部卓郎さんは、「古い歴史の中で住民の結束力が芽生えたのだと思います。それを発揮できる黄海地区民運動会(黄海地区住民自治協議会主催)や、自治会主催の『深萱スポーツ大会』も自慢の行事です」と笑顔で語ります。
「深萱スポーツ大会」は通算42回も開催してきたもので、コロナ禍の休止を経て、今年度から再開予定。自治会単独で行い、班対抗で複数の競技を行い、親睦を深めてきました。
しかし近年では、高齢化の影響で「スポーツ大会の継続は難しいのでは?」という声が……。移動手段の問題などで、現在はサロン活動なども行っていませんが、「できる限り高齢の方も参加しやすい交流活動を企画しながら、地域の安心安全も図れるよう活動していきたい」と、熊谷さんは模索しています。
令和5年度までは、農事部、社会部、文教部、福祉保健部、女性部、防災部の6部会で運営していましたが、令和6年度から女性部が福祉保健部に統合されました。背景としては、集落の担い手不足という課題のほか、「男女を問わないで参画する」という意味合いも。
社会部長は行政区長が、農事部長は農家組合長、文教部長はひまわり館を管理する「ひまわり館長」……というように、兼務する役が決まっており、区長宛に届く配布物を効率的に配れるように、社会部には班長が所属しています。文教部は子供会を主とした活動を行なっていましたが、集落内の子どもの数が減少。活動の見直しを図り、現在はお花見会や環境美化活動などを主に行うこととしました。
これらの改革や仕組みは、人口減少に伴う役の担い手不足をカバーし、「協力関係を強化するための措置」であり、「先輩方から教わって次の役員につなげていく事が大事」と語る熊谷さんと阿部さん。各部の部長は次期自治会長や副会長に就任することがほぼ決まっていることなどから、成り手の育成と心構えができることで、組織内でスムーズに役員を選出するために考えられたのが、現在の組織体制です。
八百万の神と、そこに集う住民同士の交流を今もなお大切にし続ける同集落。次の世代にバトンを渡すため、時代に合わせた持続可能な仕組みづくりを、今後も続けていきます。
くまがい あきら
熊谷 明さん
副会長(庶務担当※)を2期4年経験後、現職へ。「会長になる心構え」を、先輩たちから教えられ、スムーズに就任。※副会長(2名)は庶務担当と会計担当に分かれる。
A.和
あべ たくろう
阿部 卓郎さん
2期4年目(会計担当)で、防災部の副部長(※)も兼務。阿部さんの代が深萱分校の最後の卒業生です。※防災部は部長が自治会長、副部長は副会長が兼務する。
A.結束力
防災部では毎年、黄海駐在所に依頼し、交通安全や各種防犯対策の座談会を開催(陶芸センター会場)。30人程が参加。
「ひまわり館」と命名された自治会館は旧黄海小学校深萱分校。教室が一つと職員室、運動場しかない小さな学校でした。
藤沢町住民自治協議会主催事業「ビューティフル藤沢」にも参加する花壇は文教部が担当し、人材育成にもつなげています。
同自治会員「かねはらっ亭よ~」こと皆川洋一さんが、福祉保健部・女性部共催事業で寄席を行ったことも(令和4年度)。