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花壇定植作業後の集合写真(令和5年6月)
(idea 2023年11月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
行政区は「33区」。旧藤沢町の北側に位置し、49世帯194人が暮らす(集合住宅等、自治会未加入世帯も含めると約60世帯)。6班体制、8部会(総務、文教、産業、税務、生活環境、福祉保健、女性、自主防災)で構成される。
巨石が鎮座する「立石神社」や100年近い歴史を持つ「増沢神楽」等の歴史的要素やカタクリの群生地など、地域資源に富み、JAいわて平泉の藤沢営農経済センターや南部園芸センター、各種事業所も点在することから、地区外からの人の往来も多い第33区自治会。市道増沢新沼線に沿って広がり、千厩町や川崎町にも隣接しています。
そんな同集落を「安心して住める良い所」と話すのは、令和4年に同集落に移住し、認定農業者としてピーマンの栽培に取り組む小野寺隆好さんです。人口減少が進み、空き家も増える中、同集落にはこの5~6年間で4世帯が移住。「比較的千厩町の商業圏や国道284号線にもアクセスしやすいことが要因の一つかもしれない」と同自治会総務部長の村上秀俊さんらは分析します。
小野寺さんも「ここは水源が整備されていて、出荷場(JA藤沢営農経済センター)も近い。農業に挑戦したい人にとっては非常に良い環境。『良い所に農場を構えているな』とよく言われます」と、同集落に移住した背景を語り、「農業環境の良さに加え、親身に接してくれる地元の方々も魅力の一つです」と続けます。
旧藤沢町では43ある自治会毎に「ミニ計画(≒地域づくり計画)」を作成しており、現在も5か年毎の見直しを続けています。
同自治会はミニ計画の中で「みんなで支え合い、安心安全に暮らせる地域づくり」「地域の資源を活かした地域づくり」という2つのスローガンを掲げ、毎年の事業もこのスローガン達成を意識して計画されています。
例えば「支え合い」においては福祉保健部が区長や民生委員、福祉団体と連携し、高齢者や一人暮
らし世帯等の情報を把握。必要に応じて支援ができる体制を整えつつ、少しでも住民の様子を把握できるよう、「集落内に回覧版や広報等を配る時など、住民の様子を伺うようにしている」と、自治会長の佐藤末喜さんも自然な支え合い活動を実践しています。
また、自治会組織とは別に「33サロン」を開催しており、文教部が支援しています。当初はお茶飲みを主にしたサロンでしたが、回を重ねるごとに刺繍、編み物の制作など様々な活動にチャレンジし、今ではサロンで制作した作品を「藤沢地域産業福祉文化祭」に出展。支え合いに加え、地域住民の生きがいづくりにも貢献しています。
事業数が多いのは生活環境部。藤沢地域は大きく8地区に分かれ、同自治会は「新沼地区自治会協議会」に所属。そのため、班ごとに市道増沢新沼線等の側溝上げや草刈り・支障木の伐採などを行う「春季・秋季道路環境整備(自治会独自事業)」に加え、新沼地域として行う旧新沼小学校の草刈り作業や、藤沢全域で取り組む「町内クリーンアップ一斉清掃(≒春・秋の一斉清掃)」、毎月行う「ゴミステーションの巡視」など、「安心安全」につながる取り組みを多数行っています。
「ミニ計画」の中でも「遊休農地の増加」「少子高齢化に伴う農地維持の困難性」を課題にあげ続けてきた同自治会。令和2年、集落営農の実現を目指し、「増沢地区土地基盤整備事業推進委員会」が発足しました(33区住民を中心に、32区の住民も一部対象)。
同自治会の産業部でも、農家組合と連携し、同委員会の活動支援を行っています。村上さんは「農業を志す将来の世代が、この土地で農業ができるよう、我々の世代でその土台を作ろうと思っています」と意気込みます。
佐藤さんは「住民相互の助け合いは昔から続いていますが、最近は新しい仲間が増えた。長年住んでいる私たちには見えていない良い所も見つけてくれます。将来的にはみんなが元気に働けるような地域にしたいし、みんなが安心して年を取れる地域にしたい」と語ります。
かつては隣接する32区と「増沢村」に属していた33区。現在も多面的機能交付金による河川の清掃、水路の泥上げなどの作業は増沢地区として行い、「増沢交流館」も合同で管理しています。「増沢神楽」は増沢地区住民有志による「増沢神楽保存会」が継承するなど、単一自治会での活動と、広域(増沢地区、新沼地域、藤沢全域)での活動のバランスを取りながら、「個々の暮らし」の側面的支援を、自治会が担っています。
さとう すえき
佐藤 末喜さん
1期2年目。千厩町小梨出身。自治会役員を約10年務めつつ、「新沼地区自治会協議会」会長なども歴任するなど幅広く地域活動に貢献してきました。
A.平和
おのでら たかよし
小野寺 隆好さん
平成28年に千葉県から帰郷(室根町)。令和4年に同集落に移住し、室根・藤沢の2地域でピーマン栽培、ビニールハウス関連事業を展開しています。
A.ピーマン日本一
清掃後の談笑タイムを励みに、女性部が「増沢交流館」の清掃を担当。第32区との隔月交代で、館内はいつもピカピカ。
旧増沢児童館(画像手前)を交流館として活用。32区と共同管理ですが、32区は隣(画像奥)の増沢地区自治会館を主に使用。
同町内でも交通量が多い一級市道「増沢新沼線」や、その周辺道路の環境整備を実施。支障木の伐採なども行います。
数年前に地元住民が発見したカタクリ群生地。多面的機能支払交付金制度等を活用し、住民有志が整備を続けています。