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同自治会の花壇植栽作業の様子(写真は令和3年度)
(idea 2022年10月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
旧藤沢町の中心地から400mほど東に位置(徳田地区内)する自治会で、35戸81人が暮らす。6班(隣組)体制で、「総務部」「産業部」「文教青年部」「女性部」「福祉部」の5部会で自治会運営を行っている。
「名生城」の一部、「檞」「萱刈場」「釜土」「袖の沢」「揚戸」と、難読地名とも言える小字で構成される藤沢第25区。「『萱刈場』という小字は、実はこの地で『金を採掘するところ』という隠語だったみたいです」と、自治会長の畠山憲さんは集落の歴史に思いを馳せます。
昭和49年に発足した同自治会の区域内には、平家とのつながりがあるとされる「大日如来堂」や「かしゃ猫」にまつわる伝説など様々な民話があり、平成23年には「二十五区地域お宝さがし」として冊子にまとめました。
また、徳田地区の多面的機能支払交付金の活動組織「農地・水・環境保全向上徳田地区活動組織」の事業である「ひまわり畑」が、同自治会エリア内にもあり、近年は写真撮影に訪れる人も増加。
民話として伝わる古くからの地域資源に、「ひまわり畑」のような新たな地域資源も加わり、自治会への愛着を持ち始めた若い世代も少なくはありません。
5部会制で活動する同自治会。以前は6部会でしたが、自治会内の役を減らすことなどを目的に、平成29年に文教部と青年部を統合し「文教青年部」へ。同部会は町内のスポーツ事業や徳田地区の事業への協力等を担当するほか、自治会館周辺の草刈りや、その後のバーベキュー大会を企画しています。子どもも含め、老若男女が集うため、「幅広い世代で顔を合わせることは、信頼関係を深め、地域の防犯対策としても有意義です」と、畠山さんは労い以外の意味合いも実感しています。
また、総務部環境部門が担当する幹線道路沿いの草刈り作業(6月・9月)は、あえて花壇整備(草取り)と同日に行います。そうすることで高齢層の参加者にも、身体的負担の少ない役割(草取り)を与えることができ、「地域活動に貢献できない」という引け目を感じさせにくくなります。
保健推進委員が担う福祉部は、実質的には保健推進委員の活動を女性部と調整しながら行っているような流れですが、部会という扱いにすることで、活動内容が自治会全体で共有され、自治会における保健福祉に関する動きを把握することができます。年に5回行われる「ふれあい一皿運動(一関市食生活改善協議会藤沢支部主管)」への協力(同行)や、検診の啓発、敬老事業など、各種事業を支えています。
そんな同自治会も一時は自治会存続の岐路に立ちました。少子高齢化・若者の人口流出に加え、住民の生活が多様化したことで、徐々に「自治会活動への参加が難しい」との声が増加。特に自治会長はじめ、役の担い手確保が難しくなり、平成26年度は自治会活動を「休会する」という選択をします。
同自治会の活動は、自治会独自の活動のほか、徳田地区としての活動もあります。休会に伴い、自治会独自の事業は休止としたものの、徳田地区の活動(環境整備等)については、有志が参加することで、徳田地区住民としての役割はカバーしました。
しかし、そうした有志の動きだけでは、自治会外の動き(広域の地域活動)がカバーしきれず、女性部など、徳田地区や藤沢町全体の動きとの関わりが深い立場の役員から、自治会活動再開を望む声が。
「出来ることから工夫して、やれる人だけでやってみましょう」という機運となり、1年間の休止を経て、平成27年度より活動を一部再開させました。
「みんながみんな自治会に関わることを嫌がっているわけではない。今まで関わりが少なかった人も、自治会行事に参加したことで『役を持つやりがい』を感じてくれた人もいます」と、休会後の手応えを感じている畠山さん。
一方で「人口減と担い手不足の課題は依然として残っています。だからこそ、お互いに支え合うために、自治会活動は不可欠であるとみんなが感じてくれることが一番の課題ですね」と、今後についても冷静に見つめます。
コロナ禍で毎年恒例の研修旅行等も実施できないなど、コミュニティの希薄化が進行しかねない状況ですが、住民が顔を合わせる貴重な機会として、定期総会だけは感染対策を講じた上で対面形式で行い続けた同自治会。「休会」も含め、今後も自治会活動の在り方を模索し続けていきます。
はたけやま けん
畠山 憲さん
就任当初は一度休会した自治会の再スタートに貢献。「自治会活動はみんなの協力があってこそ成り立つもの」とチームワークの大切さを語ります。
A.和
さとう ゆういち
佐藤 優一さん
4期8年目。「地域に何かの形で貢献したい」という想いから自治会役員を志願し、現職もあわせ、通算で20年近く各種役員を歴任しています。
A.草刈り後のバーベキュー最高
令和3年の一斉清掃の様子。小さな子どもたちもゴミ拾いに参加し、コロナ禍における世代間交流の一つになっています。
平成25年の藤沢野焼祭りで同自治会が一関市長賞を受賞した時の作品。近年は自治会内有志での出品に切り替えました。
自治会設立直後の昭和50年に制定。あいうえお順で、みんなが幸せに暮らしていく上で大事なことが記されています。
自治会館に掲げられている昭和61年度藤沢町農業祭仮装パレード参加時の集合写真。後方の山車は住民総出で作成しました。